えむと、メモランダム

読んだ本と出来事あれこれ

30年以上会っていなかった友人とばったり再会しました

先日、30年以上会っていなかった学生時代の友人と、思わぬところでばったり再会しました。

病院の待合室で何となく診察を待っているときに、その友人から声をかけられたのですが、長い間会っておらず、もう会うこともないだろうと思いこんでいたので、名前を名乗られても、一瞬何が起きたのか理解できず、まして、3か月に一度しか行かない病院で出会うなんて夢にも思っていないので、本当に驚きました。
びっくりすると体が固まるといいますが、まさにその通り、頭も真っ白になって椅子から立ち上がることもできませんでした。

偶然に偶然が重なったのか、あるいは神様のいたずらか、別々に歩いていた2本の道が突然交差したわけですが、何か不思議なものを感じないわけにはいきません。せっかくつながったものを切ってしまうと罰があたりそうなので、糸のように細くてもいいので、縁を大切にしたいと思っています。

『限界国家 人口減少で日本が迫られる最終選択』を読みました

限界国家 人口減少で日本が迫られる最終選択 (朝日新書)

2017年55冊目の読了は、『限界国家 人口減少で日本が迫られる最終選択』(毛受敏浩/朝日新書 初版2017年6月30日)です。

本書も、この前に読んだ『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』と同じく、日本の人口減少をテーマとしていますが、『未来の年表』とは異なり、外国人定住政策の専門家でもある著者は、日本の「限界国家」化を避けるために、しっかりとした移民政策を確立したうえで、移民の受け入れを本格化すべきだとしています。

本書によれば、日本に定住している外国人は2016年末現在で238万人、総人口の1.9%ほどで、欧米に比べると極端に小さい数字だそうです。移民に頼らなくても、何とかできたからだと思いますが、外国人に対する日本人独特の感情があることも、定住外国人が少ない理由のひとつでしょう。まして、「移民」という言葉に対しては、ネガティブなイメージを持つ人が多く、議論そのものがタブーであるかのような節があります。

移民受け入れの反対意見としては、「犯罪が増える」「日本人の労働力を活用すべき」「日本人の職が奪われる」「社会保障費が増える」「人口減でも豊かな国は可能」「生産性が上昇すれば大丈夫」といったことがあげられるそうです。著者はこれに対し、様々なデータや実例などをもとに、その意見が当たらないことを示し、また、移民受け入れに成功した国と失敗した国を紹介し、日本の移民政策においてとるべき方向性を提案しています。著者の主張が本当に妥当なものなのか判断はつきませんが、しっかりした裏付けのもとに考えが述べられていて、かなり説得力があります。

著者は、「人口減少と高齢化よって、われわれの日々の生活で当たり前のこととして受け止めてきた快適性や利便性、安全性が少しずつゆらぎ始めている。」と言います。今はまだ小さなゆらぎで、気づく人は少ないのかもしれません。しかし、大きなゆらぎがやってくるのは間違いありません。その時になって悔やむことがないよう、「移民」をタブー視することなく受け入れについて今こそ議論すべきではないか、また、それは私たち大人の責任ではないか、本書を読んで強く思いました。

読後感(よかった)

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』を読みました

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

2017年54冊目の読了は、『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司/講談社現代新書 初版2017年6月20日)です。話題になっているようなので手に取ってみました。

本書は、産経新聞の論説委員である著者が、人口減少・少子化高齢化がもたらす日本社会の姿を具体的に示し、危機的状況への対応策を提言したものです.

第1部では、「人口減少カレンダー」と称し、2017年から2065年までに起こり得る20のトピックを年代順に示して、詳しく解説しています。2024年、国民の3人に1人が65歳に。2027年、輸血用の血液が不足。2033年、住宅の3戸に1戸が空き家に。2039年、火葬場が不足。2040年、自治体の半数が消滅危機に。2045年、東京都民の3人に1人が高齢者に。といった具合に、その内容はかなり衝撃的です。
少子高齢化といっても、それが何を意味するのか、これまであまり深く考えたことはありませんでしたが、これだけリアルな形で示されると、他人事では済まない大変な事態であることがよくわかります。

本書を読んで、改めて気づかされたのは、人口減少による社会活動の担い手の不足が、生活全般に深刻な影響を及ぼすことです。賦課方式をとる年金制度が危ないことは言われ続けています。働く人の減少は税収の不足となり、公的サービスの質の低下、社会インフラの劣化なども現実的なものになるでしょう。とりわけ、医療や介護などでの人手不足は、大きな社会問題になるかもしれません。今でも病院の待合室はお年寄りが多いですが、これから先、その数が増える一方で、医師の数が少なくなれば、待合室は高齢者であふれかえり、受診まで長時間かかるという姿が日常茶飯事になりそうです。

著者は本書の第2部で、人口減少・少子化高齢化問題への対策を「日本を救う10の処方箋」として示しています。ハードルが高そうな提案もありますが、24時間社会からの脱却、中高年の地方移住推進など、すぐに取り組めそうなものもあります。これらの対策が妥当なのかどうかはわかりませんが、問題を先送りせず、何らかの手を打っていかないことには、日本が立ち行かなくなることは間違いありません。著者はどちらかというと否定的ですが、移民の受け入れなども本格的に検討すべき時期にきているように思われます。

国民全体が、もっとこの問題に関心を持つべきだと、本書を読んで強く思いました。

読後感(よかった)