えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『100年前の女の子』を読みました

一〇〇年前の女の子 (文春文庫)

今年10冊目の読了は、『100年前の女の子』(船曳由美/文春文庫 初版2016年7月10日)です。先日読んだ「言葉はこうして生き残った」で紹介されていた本ですが、読んだのは文庫版です。

本書は、1909年(明治42年)、栃木県の小さな村に生まれた女の子が成長し、やがて女学校に進学。家の事情で東京に出て就職、そして結婚し家庭を築いていくという物語です。

有名人でもない普通の人の話なのですが、実母との別離やさまざまな困難を乗り越えて、けなげに生きていく主人公の姿はとても印象的です。ただ、本書に心がひかれるのは、主人公が生まれた村の四季折々の風景や、決して豊かではないけど、自分なりの幸せをみつけながら、つましく懸命に生きていく村人たちが鮮やかに描かれているからです。そこに、懐かしさのようなものを感じ、また忘れかけていたものを思い起こさせてくれます。
物語の途中で、小学校の修学旅行で東京に来て、三越百貨店の食堂で、用意された弁当を友達たちと喜んで食べる場面があります。とりたてて、感動するところでもないのですが、なぜか読んでいて涙があふれてきました。何か心に響くものがあったのかもしれません。

 主人公が幼い頃、お米だけのご飯はぜいたくで、麦や雑穀が混じっているのは当たり前でした。今は、健康のために、わざと麦や雑穀を混ぜて食べます。暮らしは確かに豊かになりました。しかし、それが本来の豊かさなのか、つくづく考えさせられます。

読後感(よかった)