えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『米中もし戦わば』を読みました

米中もし戦わば

今年16冊目の読了は、『米中もし戦わば』(ピーター・ナヴァロ/文藝春秋 初版2016年11月30日)です。HONZのレビューで、著者の主張はトランプ大統領の理論的支柱になっていると言われていること、その著者がトランプ政権において国家通商会議委員長に抜擢されたこと、安部政権中枢部や防衛省幹部の必読書とも言われていることを知り、手にとってみました。

 本書は、中国の軍事的な脅威をとりあげ、アメリカはいかに対抗すべきかを、両国の経済、政治、軍の実情などをもとに、具体的に論じています。45章から成っていますが、各章はコンパクトに、かつ、平易な文章で書かれているので、専門家でなくても十分理解することでき、いずれも興味深い内容となっています。

本書については、アマゾンなどでも多くの人がレビューしていますが、その大半が高い評価で、たくさんの人に読まれるべきだとの意見も多く見られます。本書の内容を鵜呑みにするわけにはいかないのかもしれませんが、米中関係だけでなく、今後の日米関係、日中関係、そしてアジア情勢を考えるうえで、本書が「必読の書」と言われる理由は十分あるように思います。

本書では、日本の米軍基地についても言及していて、そのひとつである横田基地は福生にあるので、気になって調べてみたところ、自宅とは20キロくらいしか離れていないことがわかりました。今まで、米軍基地のことなどほとんど関心はなかったのですが、横田基地が中国の攻撃を受けたらどうなるのだろうかと、思わず考えてしまいました。また著者は、アメリカが核の傘を引き上げたら、日本は、中国による屈辱と征服に甘んじるよりは、核兵器を製造し、核戦争を選ぶかもしれないと言っています。日本人としては、唯一の被爆国として、そんなことは論外であり得ないと考えるのが普通なのかもしれませんが、核の傘がない状態で、国土が蹂躙されるような事態に陥ったとき、それでも国民は非核を選択するのだろうか、深い問いかけになっていると感じました。

著者によれば、歴史的に、既存の大国(アメリカ)と台頭する新興国(中国)が対峙したとき、戦争に至る確率は70%を超えるそうです。現在の国際情勢、各国におけるナショナリズムの高揚、また第二次大戦の記憶の希薄化などを考えると、決して大げさな数字でない気がます。また、米中戦争になれば、アメリカが劣勢になる可能性が高いと言っており、もしそうなれば、日本に計り知れない深刻な影響が及ぶことは間違いありません。

経済戦争は仕方ないとしても、武器を使った戦争が起きないことを願うばかりです。

読後感(よかった)