えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『百年の手紙』を読みました

百年の手紙――日本人が遺したことば (岩波新書)

今年24冊目の読了は、『百年の手紙』(梯久美子/岩波新書 初版2013年1月22日)です。著者の別の本を探しているときに、たまたま目にし、手にとりました。

本書は、2011年と2012年に、東京新聞と中日新聞で連載されたコラムをまとめたエッセイです。20世紀の百年間に日本人が書いた手紙100通の一部を抜粋し、「時代の証言者たち」「戦争と日本人」「愛する者へ」「死者からのメッセージ」の4つのパートに分けて紹介、それぞれに対し著者の思いを綴っています。

本書では、政治家や作家といった著名人だけでなく、名もないごく普通の人が書いた手紙も多数紹介されています。手紙は、他人が読むかもしれないと思いながら書く日記と違い、自分の心にあるものがストレートに表現されるため、一部分であっても書き手の思いがよく伝わってきます。なかでも、戦争に関係する手紙は、親から子、子から親、夫から妻、妻から夫など、いずれも読んでいると胸に迫るものがあり、戦争の愚かさ、悲惨さに改めて思い至ります。

今の時代、紙とペンで手紙を書くことは、ほとんどなくなりました。手書きの手紙には、たとえ文章が拙くても、また字が上手でなくても、温もりがあり、人柄をうかがい知ることもできますが、プリンターで印刷された手紙やメール文は果たしてどうなのでしょうか。

100年後に本書と同じような企画が成り立つのか、興味深いものがあります。

読後感(まずまず)