えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『「週刊文春」編集長の仕事術』を読みました

「週刊文春」編集長の仕事術

今年26冊目の読了は、『「週刊文春」編集長の仕事術』(新谷学/ダイヤモンド社 初版2017年3月9日)です。HONZの紹介記事で知り、手に取りました。

本書は、週刊文春の現役編集長である著者が、「情報/人脈」「企画/発想」「依頼/交渉」「組織/統率」「決断/覚悟」「戦略/本質」の6章に分けて、自身の仕事に対する考え方や実際の仕事の進め方を語ったものです。週刊文春の生々しい制作の裏側が、ふんだんに紹介されているだけでなく、デジタル時代を踏まえたさまざまなチャレンジについてもふれられていて、同じ業界にいる者として大変興味深く、またある種羨望感を持ちながら読みました。

ここに書かれている著者の仕事術をそのまま真似することはできません。しかし、決して著者にしかできないような特殊なものではなく、普通のビジネスマンにとっても、参考になるところは実に多いと思います。また、出版を例にとり、ものづくりの考え方について語っているところがあるのですが、「財務的な発想が入ってくると、とたんにうまくいかなくなる」、「うまくいっていないときほど、他人のリングで戦おうとしてしまう」といった指摘は、出版業界に限らず耳の痛い話かもしれません。

本書を読むと、著者や編集部員がどのような思いで、どのような方法で週刊文春の制作に携わっているか、その一端を知ることができますが、編集長の明確な編集方針とリーダーシップ、自分の役割に徹して仕事を進めていく編集部員、編集長と部員の信頼関係など、週刊文春がなぜ他の週刊誌より抜き出ている存在であるのか、その理由がよくわかります。週刊誌というと、どうしてもスキャンダラスのイメージがついてまわります。しかし、新聞やテレビの報道が色々な「目」を気にしながら抑制的になる中、今の編集方針や記事の作り方が踏襲されていくのであれば、週刊文春の存在は社会的にも大きな意味を持ってくると言っても過言でない気がします。

これまでは、新聞広告の見出しを読むだけで終わることが多かった週刊文春ですが、これからは購入する頻度が多くなりそうです。

読後感(とてもよかった)