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『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』を読みました

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

2017年54冊目の読了は、『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司/講談社現代新書 初版2017年6月20日)です。話題になっているようなので手に取ってみました。

本書は、産経新聞の論説委員である著者が、人口減少・少子化高齢化がもたらす日本社会の姿を具体的に示し、危機的状況への対応策を提言したものです.

第1部では、「人口減少カレンダー」と称し、2017年から2065年までに起こり得る20のトピックを年代順に示して、詳しく解説しています。2024年、国民の3人に1人が65歳に。2027年、輸血用の血液が不足。2033年、住宅の3戸に1戸が空き家に。2039年、火葬場が不足。2040年、自治体の半数が消滅危機に。2045年、東京都民の3人に1人が高齢者に。といった具合に、その内容はかなり衝撃的です。
少子高齢化といっても、それが何を意味するのか、これまであまり深く考えたことはありませんでしたが、これだけリアルな形で示されると、他人事では済まない大変な事態であることがよくわかります。

本書を読んで、改めて気づかされたのは、人口減少による社会活動の担い手の不足が、生活全般に深刻な影響を及ぼすことです。賦課方式をとる年金制度が危ないことは言われ続けています。働く人の減少は税収の不足となり、公的サービスの質の低下、社会インフラの劣化なども現実的なものになるでしょう。とりわけ、医療や介護などでの人手不足は、大きな社会問題になるかもしれません。今でも病院の待合室はお年寄りが多いですが、これから先、その数が増える一方で、医師の数が少なくなれば、待合室は高齢者であふれかえり、受診まで長時間かかるという姿が日常茶飯事になりそうです。

著者は本書の第2部で、人口減少・少子化高齢化問題への対策を「日本を救う10の処方箋」として示しています。ハードルが高そうな提案もありますが、24時間社会からの脱却、中高年の地方移住推進など、すぐに取り組めそうなものもあります。これらの対策が妥当なのかどうかはわかりませんが、問題を先送りせず、何らかの手を打っていかないことには、日本が立ち行かなくなることは間違いありません。著者はどちらかというと否定的ですが、移民の受け入れなども本格的に検討すべき時期にきているように思われます。

国民全体が、もっとこの問題に関心を持つべきだと、本書を読んで強く思いました。

読後感(よかった)