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『新版 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』を読みました

新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか (小学館新書)

2017年57冊目の読了は、『新版 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』(福岡伸一/小学館新書 初版2017年6月5日)です。書店で目にして手に取りました。本書は、2009年に刊行された『動的平衡』を加筆して、新書化したものです。

本書は、脳のしくみ、食べることの意味、ダイエット、安全な食品、病原体との戦いといった身近なテーマから生命科学をわかりやすく説き起こしたものです。自分にはちょっと難しい話もありましたが、興味深く読むことができました。単行本が12万部を超えるベストセラーになった理由がよくわかります。
また、科学的な内容でありながら、著者独特な表現に出会うことも本書の魅力です。「私たちの身体は分子的な実体としては、数か月前の自分とはまったく別物になっている。分子は環境からやってきて、いっとき、淀みとしての私たちを作り出し、次の瞬間にはまた環境へと解き放たれていく。」といったフレーズは、哲学書のような趣があります。

それにしても、動物や植物が生きていくためのしくみは不思議なほどよくできています。想像できないほどの時間をかけて進化してきた結果なのでしょうが、神秘的で、自然の摂理のようなものがあると思わざるを得ません。それほど深遠なものに、経済的利益の追求といった目的だけで、逆らったり手を加えたりしたら、あとで強烈なしっぺ返しを食らいそうです。

読後感(よかった)