えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『死ぬほど読書』を読みました

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

今年63冊目の読了は、『死ぬほど読書』(丹羽宇一郎/幻冬舎新書 初版2017年7月30日)です。書店で目にして、手にとりました。

本書は、伊藤忠商事の前会長で中国大使も務めた丹羽氏が、読書についてその意義、本の選び方・読み方、読書の効用などについて書いたものです。

実用的な内容もありますが、丹羽氏が自分の体験を通して、人生や仕事において読書がいかに大切なものかを語っているのが本書の特徴です。伊藤忠商事時代の話も頻繁に出てきて、読書論でありながら、ビジネスマン向けの人生論・仕事論といった趣もあります。誰が読んでもいいのでしょうが、若い人たちには参考になるところが多いのではないかと思いました。

丹羽氏は読書の効用として、たとえば次のようなことを言っています。
『人間にとって一番大事なのは、「自分は何も知らない」と自覚することだが、読書は 「無知の知」を、身をもって教えてくれる』、『細切れの断片的な情報は「考える」作業を経ていないので、知識とはいえない。読書で得たものが知識になるのは、読書が「考える」ことを伴うからだ』、『教養の条件は「自分が知らないということを知っている」ことと「相手の立場に立ってものごとが考えられる」ことであり、教養を磨くのは仕事と読書と人である』、『どんなに苦しい状況でも、そこから逃げずにベストを尽くせば光が見えてくるが、読書と経験はその源泉となる』、『読書家の人は論理的な思考ができて、話す言葉が整理されている。コミュニケーションに信頼感があり、ふとした振る舞いに人間的な幅や余裕が感じられる』

このような効用を実感できるようになるには、量だけでなく、ある程度質も伴った読書が必要になるでしょう。軽めの本が多い私にはちょっとハードルが高そうですが、それでも丹羽氏の言葉は、読書に対するモチベーションを高め、本を読み続けようという気にさせてくれます。

丹羽氏は本書で、ネット社会の隆盛は本の市場に影響を与えたが、再び本が見直される時代がくると言っています。出版業界に身を置く者としては、他社の本とはいえ、本書に書かれている読書の効用を多くの人に知ってもらい、もっと本が読まれるようになってほしいと思いました。

読後感(参考になった)