えむと、メモランダム

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『統計は暴走する』を読みました

統計は暴走する (中公新書ラクレ)

今年82冊目の読了は、『統計は暴走する』(佐々木彈/中公新書ラクレ 初版2017年9月10日)です。書店で目にして手に取りました。

本書は、東京大学社会科学研究所教授の著者が、現代を生きる者にとっては「読み書き」「四則計算」に劣らず必携だとする「統計リテラシー」(=いかがわしい統計を見分け、見破る術)を身につけるヒント・考え方を、“暴走する統計”の具体例をもとに解説したものです。

“暴走する統計”というと統計自体に何か問題があるような印象がありますが、決してそうではなく、統計を利用する側(発信する側)の不注意や悪意により様々な問題が引き起こされることをいいます。本書で著者は、“暴走する統計”を犯罪になぞらえて、「統計はだます」、「統計は盗む」、「統計は迫害する」、「統計は殺す」の4つに分類し、それぞれ5つの事例を取り上げて解説したうえで、そこから導かれる教訓を示しています。

なかには専門的な話もあって、少し難しいと感じたところもありましたが、「たばこを吸ってもガンにならない」「未婚者は既婚者より10年短命」「二酸化炭素は地球温暖化と関係ない」など、興味をひくテーマから統計の暴走ぶりを知ることができました。ただし統計が暴走するのは、無関心なことは何の疑いもなく受け入れる、関心のあること・肯定的に考えられることはバイアスをかけてしまう、といった情報を受ける側の姿勢にも原因があるとのこと。自分もやっていそうで反省されられます。

著者は、統計には必ず「意図」が存在し、暴走させないためにはその「意図」を見抜くことが大切だと言っています。そのためには「統計リテラシー」が必要ということになるのですが、本書では、記事を批判的に読む、常識を働かせる、5W1Hを確認する、発信者側に立ってみる、といったことを実践すれば統計リテラシーは向上するとしています。

もっともよく考えると、これらのことは物事を正しく考えて理解していくうえでは大切なことです。何も統計リテラシーのためだけでなく、日常的に心がけたいと思いました。

読後感(参考になった)