えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『こわいもの知らずの病理学講義』を読みました

こわいもの知らずの病理学講義

今年85冊目の読了は、『こわいもの知らずの病理学講義』(仲野徹/晶文社 初版2017年9月25日)です。書評サイト「HONZ」のレビューで知って手に取りました。

本書は、大阪大学医学部の教授で「HONZ」のレビューアーでもある著者が、大学で教えている「病理学」をもとにして、「病気の成り立ち」について解説したもので、「細胞」、「血液」、「DNA」、そして「がん」をテーマとして、紙上講義といった感じで話が進みます。

仲野さんは、「近所のおっちゃん・おばちゃんといったごく普通の人にも、ある程度は正しい病気の知識を身につけてほしい」という願いから本書を執筆したと語っています。軽妙な語り口で、専門的な話を噛み砕いて説明されていて、また授業と同じように“雑談”で時々脱線もして、「難しい内容をできるだけやさしく」という仲野さんの思いは十分伝わってきました。

もっとも医学がテーマだけに、「できるだけやさしく」といっても限度はあります。内容的に難しく感じるところもあり、読んですぐに全部を理解するためには、ある程度の基礎知識は必要かもしれません。しかしどの話も興味深く、新しく知ったこともたくさんあり、また雑談も楽しく、自分にとって「医学」が少し身近な存在になったことは確かです。

本書を読んで印象に残ったのは、医学や医療に携わっている人たちのたゆまぬ努力・研究によって、様々な病気が克服されてきたこと。そこには名誉やお金が関係していることもあったのかもしれませんが、命を救いたいという思いがあってこそ、さまざまな治療法や薬が開発されてきたのは事実で、今私たちはその恩恵を受けているのだということを実感しました。

本書によると、これから医療の世界にもAIの出番があるようです。病気の診断などいろいろな場面でAIが活躍するのは時代の流れだと思いますが、人のぬくもりまでは奪わないでほしいものです。

読後感(面白かった)