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『人類5000年史Ⅰ-紀元前の世界』を読みました

人類5000年史I: 紀元前の世界 (ちくま新書)

今年89冊目の読了は、『人類5000年史Ⅰ-紀元前の世界』(出口治明/ちくま新書 初版2017年11月10日)です。筑摩書房のホームページで知って、さっそく買い求めました。

本書の前書きによると、出口さんが2016年に出版した『「全世界史」講義Ⅰ、Ⅱ』(新潮社)の読者の「もっと詳しい世界史を」という声に応えるため、本シリーズ(全5巻)を執筆することになったそうです。ただ1年に1冊の刊行らしく、完結まで5年はかかるようです。

本書では、第1章で生命の誕生とその進化そして文字が誕生するまでが語られた後、BC3000年頃からBC1年までを第一千年紀の世界(BC3000年頃からBC2001年)、第二千年紀の世界(BC2000年からBC1001年)、第三千年紀前半の世界(BC1000年からBC501年)、第三千年紀後半の世界(BC500年からBC1年)の4つの時代に分けて辿っていきます。
四大文明の誕生、ユーラシア大陸における帝国の出現、そして中国、インド、ペルシャ、ローマの四大国体制の完成まで、単に政治・経済の動きだけでなく宗教、思想、文化などにも触れながら話が進むので、新書とはいえその情報量は相当なものです。次々に登場する地名・人名はとても覚えきれません。そして話の展開は、各地で起きるさまざまな出来事をあたかもカメラで同時中継しているようであり、歴史の大きな流れが目の前に現れてきます。

また、折々に出てくる「シュメールは弱者や障害者を受け入れる社会であった」、「日本に宦官の風習が入ってこなかったのは遊牧民の伝統がなかったから」、「アラム文字が漢字を除くユーラシア東部のほとんど全ての文字の祖形となった」といったエピソードは興味深く、「共和制」、「クラシック」、「プロレタリアート」といった言葉の由来も知ることができて、改めて歴史の面白さを実感しました。

本書を読んで特に印象に残ったのは、気温の変化や火山の爆発といった自然現象や鉄の使用といった技術革新が、歴史を大きく動かす要因になること。もしかしたら、私たちが生きている間でも、想像を超えるような自然現象によって歴史が塗り替えられるような事態が起きるかもしれませんし、インターネットやAIは今間違いなく歴史を大きく動かしているところでしょう。

本シリーズは深い専門性はないかもしれませんが、人類5000年の歴史をさくっと見通せそうです。第2巻の刊行は来年だと思いますが、今から楽しみです。

読後感(面白かった)