えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『本の本 夢眠書店、はじめます』を読みました

本の本: 夢眠書店、はじめます

今年101冊目の読了は、『本の本 夢眠書店、はじめます』(夢眠ねむ/新潮社 初版2017年11月30日)です。タイトルにひかれて手に取ったのですが、アイドルとはまったく縁がないので、著者の夢眠ねむさんのことも、夢眠ねむさんがメンバーになっているアイドルグループ「でんぱ組.inc」のことも、本書で初めて知りました。

本書は、出版取次会社の日本出版販売が運営しているWebサイト『ほんのひきだし』に連載された夢眠ねむさんの『夢眠書店開店日記』をもとにしたもの。『夢眠書店開店日記』は、本が大好きなねむさんが「本の素晴らしさ、読書の楽しさをもっと多くの人に知ってもらいたい」「そのために“夢眠書店”を開店したい」という思いから、本に関係する様々な仕事をしている人たちを取材するという企画です。

本書には『夢眠書店開店日記』の記事に書下ろしの話を加えて、15のエピソードが収録されています。登場するのは、大型書店の店長、独立系書店の店主(荻窪「Title」の辻山さん)、ブック・コーディネータ、POP王と言われる書店員、書店の仕入れ担当、出版社の宣伝担当、取次会社のMD担当と物流担当、文芸書・絵本・漫画・雑誌の編集者、装幀家、校閲者、出版社の装幀部。本の世界のことを知ってもらうには十分でしょう。

ねむさんが本が好きでたまらないことは、取材先で投げかける様々な質問からよくわかります。そして取材される側も、ねむさんの熱い思いに応え、仕事のツボや裏話を惜しげもなく披露しているのがとても印象的でした。
お客様の目をひくPOPの作り方、流通センターの機能、装幀のこだわり、校閲者の仕事ぶり、新潮社さんに装幀部があることなど、知らない話もあって興味深かったのですが、多くの人の奮闘があってこその出版業界だということを改めて認識させられました。

本書のブックデザインは新潮社の装幀部によるものです。手触りのいい紙、並製本ですが新潮社さんらしく栞紐、かすれ気味で味のあるタイトル、別刷りした「夢眠書店」の蔵書印。どれも本書にふさわしく、紙の本ならではのものです。

ねむさんの思いがこめられた本書がたくさんの人に読まれ、本に関心を持つ人が増えることを願ってやみません。

読後感(面白かった)