えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『昭和バラエティ番組の時代』を読みました

昭和バラエティ番組の時代:1955~1989 ちょっとだけ狂気TVの35年

2018年17冊目の読了は、『昭和バラエティ番組の時代』(田村隆/河出書房新社 初版2018年2月5日)。書店で目にして、手に取りました。

本書は、放送作家として、『シャボン玉ホリデー』、『11PM』、『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』『8時だよ!全員集合』など多くのバラエティ番組に携わった著者が、昭和のテレビに光を放った数々のバラエティ番組を振り返りながら、熱気にあふれ勢いがあった番組制作の舞台裏を明かし、また放送当時の世相・出来事などについて語ったものです。

日本でテレビの本放送が始まったのは昭和28年(1953年)。それから平成元年まで、本書では時代を代表する番組、話題になった番組がたくさん登場し、それにまつわる話が続きます。

デビューして鳴かず飛ばずの布施明さんに渡辺プロの渡辺晋社長が「拍手の歌手」になりたいか「紙テープの歌手」になりたいか尋ねた話、東京と関西の番組づくりの違い、『8時だよ!全員集合』も最初は苦戦したことなど面白いエピソードは数多くありましたが、『ゲバゲバ90分!』に井上ひさしさんが関わっていたというのは、本書で初めて知って驚きでした。

本書の話の中心である昭和40年代から50年代前半は、自分の小学校入学から大学卒業までの時期とほぼ重なります。テレビを一番よく見ていたときです。
それだけに、次々に出でくる番組名はどれも懐かしく、番組の場面(もちろん断片的ですが)も思い出されてきたのですが、それとともに、バラエティ番組に限らずテレビに関係する様々な記憶がよみがえってきました。

かすかに覚えている東京オリンピックのマラソン中継、初めて我が家にやってきた“家具調”のカラーテレビ、楽しみで仕方なかった『巨人の星』、小学校の給食の時間に見ていたアポロ11号の月面着陸、衝撃的だった「あさま山荘事件」、親に隠れてこっそり見ていた『11PM』、初めての下宿生活が始まったときに同時にスタートした『プロ野球ニュース』。テレビの思い出は尽きることはなく、関係の深さは特別です。

最近、民放のバラエティ番組を見ることはめっきり少なくなりました。著者は、最近のバラエティ番組は「雑談芸」しかないお笑い芸人たちでごった返している、放送局は他局のヒット番供のまねばかりと言っています。出演者はお笑い芸人ばかり、番組の内容・作り方も各局似たり寄ったりとなると、見ようという気にならないのは当然かもしれません。そして本書に登場したような後世にも語り継がれる番組は、なかなか生まれてこないかもしれません。

著者は最後に、楽をするばかりで、番組を生み出す苦労をしていない今の制作者たちに苦言を呈しています。しかしそれは、テレビを愛してやまない著者が後輩たちへ送った「新しいテレビの世界をつくってほしい」というのエールなのだろうと思います。

読後感(面白かった)