えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『細菌が人をつくる』を読みました

細菌が人をつくる (TEDブックス)

今年46冊目の読了は、『細菌が人をつくる』(著 ロブ・ナイト、ブレンダン・ビューラー、訳 山田 拓司、東京工業大学山田研究室/朝日出版社 初版2018年5月30日)。書店で目にして、手に取りました。TEDブックスシリーズの一冊です。

本書によると、私たちの体は10兆個の細胞からできていますが、体の内外には100兆個の細菌の細胞が存在しているのだそうです。
本書は、ヒトの肌、鼻や口、胃や腸に住んでいるこの常在細菌について、様々な研究データやエピソードを紹介しながら、その働きや病気との関連性を説明したものです。

常在細菌は、私たちの生命活動に強く影響している。また、肥満やアレルギー、ぜんそくといった身体的な病気だけでなく、うつ病や自閉症など精神疾患とも関係している。初めて知ったことばかりでしたが、内容は決して難しくなく、楽しいイラストもあって興味をかき立てられました。

一番驚いたのは、帝王切開で生まれてきた著者の子どもの体に、奥さんの産道から採取した細菌群集を綿棒でこすりつけた話。どれほどの効果があるのかわからないと著者は言っていますが、専門家がそこまでするのは、母親の産道を通るときにヒトが初めてもらう細菌の重要性を感じているからでしょう。

一方、「自分自身をあまりきれいに保ちすぎると免疫異常が起こり得る。」、「土を介して良い細菌にさらされたり、健康かつ多様な人々と触れ合ったりすることが大切。」しかし、「現代の子供は、土や葉の表面、家畜や野生動物といった、無害なところに由来するさまざまな細菌から隔離されている。」といった話も気になりました。

私が子供の頃、衛生環境が今ほど良くないのは当たり前。マンションのような機密性の高い住宅はまだ少なく、もちろんテレビゲームもなく、子供は外で遊ぶのが日課でした。その代り、食物アレルギーや喘息に苦しむ子供は数少なかった気がします。花粉症なんてものもありませんでした。

衛生環境が改善され、住環境もどんどん利便性を増していますが、もしかしたら、良かれと思ってやっていることが、私たちの体に思わぬ結果をもたらしているのかもしれません。

現在日本では、抗菌をうたう商品、抗菌と表示された設備や器具を至る所で目にします。もちろん、体に害を及ぼす病原菌を退治するとか、身の回りを清潔に保つというのは大事なことに違いありません。

しかし、なんでもかんでも「抗菌」というのは果たして本当にいいことなのか、日本人は神経質過ぎないか、本書を読んで考えてしまいました。

読後感(面白かった)