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『看る力 アガワ流介護入門』を読みました

看る力 アガワ流介護入門 (文春新書)

2018年49冊目の読了は、『看る力 アガワ流介護入門』(阿川佐和子 大塚宣夫/文春新書 初版2018年6月20日)

父が急逝してからというもの、父の存在で隠れていた母の「異変」ぶりに気づかされるようになりました。

あわてて要介護認定調査を受けたところ「要介護1」の判定。何か遠い世界の話のように思っていた“介護”が急に身近なものになってきたところで、本書が目にとまりました。

本書は、エッセイスト、タレントの阿川佐和子さんと、高齢者向け医療施設を運営する医療法人の会長である大塚宣夫氏が、介護や老後について語り合ったものです。

阿川さんは父である阿川弘之氏に最期まで付き添い、現在は、認知症が始まっている母親を看ていて介護経験は豊富。また、大塚氏は40年近くにわたり高齢者医療に携わっていてこの分野では第一人者。これまでの体験や様々なエピソードを紹介しながら、ユーモアを交えて進む話は面白く、親の介護や自分の老後を考えるうえでヒントがたくさんあって、あっという間に読み終えてしまいました。

どの話も印象に残りましたが、「認知症の人は、少ない記憶を駆使して自分なりにベストの判断をくだし、行動している。」というのは目から鱗。認知症の人に「バカにされない、叱責されない、とがめられない」という安心感を与えることがなぜ大切なのか、その理由もよくわかりました。

また、「周りの人から必要とされるような環境をつくり続けられるかどうか、もしできないとしても、少なくとも他人に迷惑をかけないよう生きるためにはどうしたらいいか、考えておいたほうがいい」とか、「75歳を過ぎたら、体の言うことを聞いて楽させたらもう終わり。体がなんと言おうと、気力に体力を引っ張らせることこそが大切」といった話は、自分のこととして心に残りました。

自分にとって75歳というのはまだ随分先ですが、時間が経つのはあっという間。本書に登場する「残念な男性たち」のようにならないためにも、今のうちから「生き方」を考え、「生活習慣」を見直すことが大切なようです。

読後感(面白かった)