えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『カラー版 絵はがきの大日本帝国』を読みました

カラー版 絵はがきの大日本帝国 (平凡社新書)

2018年72冊目の読了は、『カラー版 絵はがきの大日本帝国』(著 二松啓紀/平凡社新書 初版2018年8月10日)です。書店で目にして手に取りました。サイズは新書版ですが500頁近くのボリュームがあります。

私は、「絵はがき」というと観光地のお土産とか美術展の記念グッズくらいしか思い浮かびません。ところが、新聞がメディアの主役の時代、「絵はがき」は新聞を補完するメディアであり、宣伝やプロパガンダの重要なツールでした。

本書は、世界的な絵はがき収集家である米国のラップナウ夫妻の5万点のコレクションから390点を使って、日清戦争から太平洋戦争が終わるまで、“大日本帝国”の膨張と崩壊の歩みをたどるものです。

東洋の小国であった日本が、日清・日露戦争をきっかけとして領土を拡張。産業の発展により次第に世界の列強に並び立つようになり、満州事変を契機に中国に強い足場を構築。そして日中戦争、太平洋戦争に突き進んでいく過程が、多種多様な絵はがきと著者のわかりやすくポイントを押さえた解説によって綴られていきます。

歴史の流れを絵はがきで追っていくというのは、それだけでもユニークですが、登場するテーマも歴史上有名なものだけではありません。台湾・樺太経営といったあまり知られていないことや、スポーツ大会、博覧会といった日常的なものまで多岐に渡り、最初から最後まで興味深く読みました。

もちろん、絵はがきは初めて見るものばかりです。「メディア」と言われるだけのことはあって、戦争、事件、災害、イベント、風景、広告・宣伝など、種類の多さには驚きましたが、臨場感のある絵はがき、風刺性やデザイン性にすぐれた絵はがきはとても印象的。文字だけではわからない当時の“空気”を感じたような気がしました。

それにしても、歴史は奥深く、知らないことだらけです。

読後感(面白かった)

*本書に登場する絵はがきの一部

(日露戦争 P48・49)

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(朝鮮総督府発行 P132・133)

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(東京大正博覧会 P230・231)

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(極東選手権競技大会 P250・251)

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(関東大震災 P274・275)

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(あじあ号 P336・337)

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