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「ドイツ・グラモフォン創立120周年 Special Gala Concert」by小澤征爾

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昨夜、クラシックファンには黄色いジャケットレーベルでお馴染みの、ドイツ・グラモフォンの「創立120周年 Special Gala Concert」があり、行ってきました。

このコンサートの話題は、何といっても小澤征爾さんが1年2カ月ぶりにオーケストラの指揮台に立つこと。コンサートに出演されることがわかって、早速先行予約を申し込んだのですが、一次受付、二次受付とも見事落選。三度目の正直でようやくチケットを入手することができました。

会場は、サントリーホール。お祝いのコンサートということで、ステージは花で飾られ、和服姿の女性も目にし、華やいだ感じでした。

今回のプロフラムは、前半はディエゴ・マテウス指揮、サイトウ・キネン・オーケストラで、チャイコフスキーの『歌劇《エフゲニー・オネーギン》作品24~ポロネーズ』と同じくチャイコフスキーの『交響曲第5番』。

後半は、アンネ=ゾフィー・ムターさんのヴァイオリンを交えて、J・S・バッハの『ヴァイオリン協奏曲第2番』とベートーヴェンの『ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス第1番』。そして最後に、小澤さんの指揮とムターさんのヴァイオリンでサン=サーンスの『序奏とロンド・カプリチオーソ』が演奏されました。

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驚いたのは、プログラム途中の休憩時間が終わろうとする頃、天皇・皇后両陛下が来場され、演奏を一緒に聴かれたこと。前から決まっていたことなのでしょうが、観客はそんなことを知る由もありません。私の周囲の人たちも、突然のことに一瞬フリーズしたみたいでした。

演奏は言うまでもなく素晴らしく、サイトウ・キネン・オーケストラの弦の響き、ムターさんの繊細で艶やかな音色に聞き惚れていたのですが、圧巻はやはり最後のサン=サーンスです。

小澤さんは椅子に座っての指揮でしたが、ここぞというときは、椅子から立ち上がって全身を震わせ、ブランクを感じさせません。オーケストラとムターさんも、小澤さんのエネルギーに引っ張られるように、一段ギアがあがったような演奏となり、10分ほどの短い曲ですが、それぞれの思いが共鳴して生まれる音楽は言葉に絶するものがありました。

演奏終了後、会場は感動に包まれ、全員がスタンディングオベーション。拍手は鳴りやまず、両陛下もずっと立たれたまま拍手を送られ、一方、小澤さんも何度も何度もステージに現れては観客に応えていました。

拍手の嵐、両陛下のにこやかな笑顔、小澤さんの元気な姿。決して大げさではなく、自分の人生で忘れられない一夜となったことは間違いありません。

(会場で販売していたトートバッグを買いました。)

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