えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『(あまり)病気をしない暮らし』を読みました

(あまり)病気をしない暮らし

2018年84冊目の読了は、『(あまり)病気をしない暮らし』(著 仲野徹/晶文社 初版2018年12月10日)です。書店で目にして手に取りました。

昨年秋に、仲野先生の前著『こわいもの知らずの病理学講義』を読みました。内容もさることながら、大学院の教授らしくない軽妙な語り口が印象に残ったのですが、あれよあれよという間にベストセラー(現在20刷72,000部だそうです)になっていったのには目を見張りました。

本書は、積水ハウスのWebサイト「SUMUFUMULAB(住ムフムラボ)」に掲載された仲野先生のコラムを改稿・加筆したものです。先生いわく、「前作の残り香があるうちに二匹目のドジョウを狙っての出版」とのこと。本音を包み隠さないのも先生らしいところです。

『こわいもの知らずの病理学講義』のテーマは、「病気の成り立ち・しくみ」でしたが、本書では、呼吸法、ダイエット、遺伝、アルコール、がん、感染症といった身近なテーマをとりあげて、笑いを誘いながら、医学的な知見やエピソードを紹介しています。

「昔習った、舌の味覚地図は現在否定されている」、「水泳で潜水泳法が禁止されているのは二酸化炭素濃度が関係しているから」、「チンパンジーとヒトのゲノムの差異は1.2%、個人間では0.1%しかない」、「小さく産んで大きく育てるというのは、いいことではない」、「がんになるかどうかは結局のところ“運”みたいなもの」、「現在、野口英世の業績はほとんど否定されていて、時代に乗り遅れた研究者というイメージがある」、「歳をとればとるほど、風邪に罹りにくくなる」。

本書でも、「なるほど」、「へえー」と、興味深い話、ためになる話が次々に登場。本書のキャッチコピーは「究極の健康本」ですが、健康本というよりは、医学の読みものを楽しんだついでに、「病気をしない暮らし」のヒントを手にいれるといった感じ。前作以上にわかりやすい内容でした。

本書の最後には番外編として、研究者の実態や仲野先生の大学教授としての生活ぶりが語られています。まったく縁のない世界の話で、こちらも興味を覚えたのですが、仲野先生は、(先行きが明るくない)博士課程への進学を勧めたことがないというのが、自慢のひとつだそうです。自分の娘さんの博士課程進学をストップさせる件には笑ってしまいました。

ところで本書を読んで驚いたのは、仲野先生が今年のノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑氏の御弟子さんだったこと。本庶氏の研究室では、ときに涙するほど厳しい研究生活を送られたようで、気さくなイメージとは別の一面を垣間見ました。

読後感(面白くためになった)