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『死ぬときに後悔すること25』を読みました

死ぬときに後悔すること25 (新潮文庫)

2019年7冊目の読書レポートは、『死ぬときに後悔すること25』(著 大津秀一/新潮文庫 初版平成25年10月1日)。2009年に致知出版社から刊行された単行本の文庫版です。

本書のことは、先月読んだ『老いと記憶 加齢で得るもの、失うもの』(増本康平/中公新書)で知りました。

この本で増本氏は、「人生の受容や人生の幸福において重視される記憶は“後悔”であり、後悔を解消することが高齢期の精神的な健康状態の維持に重要である」とし、本書を紹介しながら、「先人が人生の最後にどのような後悔をしていたかを知ることは、悔いのない生き方を考えるうえで説得力のある指標となる」と述べています。

高齢者になるのはまだ先とはいえ、いずれわが身にふりかかってくる問題。本書の内容に興味を覚えて手に取りました。

本書は、緩和医療の専門医として1000人を超える人の最期を見届けた著者が、タイトルの通り、死と向きあった患者たちの代表的な後悔を25例紹介し、それにまつわるエピソードや自らの思いを綴ったものです。

「健康を大切にしなかったこと」、「自分のやりたいことをやらなかったこと」、「他人に優しくしなかったこと」、「故郷に帰らなかったこと」、「美味しいものを食べておかなかったこと」、「仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと」、「会いたい人に会っておかなかったたこと」、「自分の生きた証を残さなかったこと」、「愛する人に“ありがとう”と伝えなかったこと」…。

25の後悔は人それぞれ様々。先のことはわかりませんが、自分にあてはまりそうなものもあれば、関係なさそうなものもあります。ただ、増本氏も指摘しているように、「行ったこと」に対する後悔よりも、「行なわなかったこと」の後悔が多く、「やり残したことは」いつまでも尾を引くようです.

人生はあっという間に過ぎると言われ、またいつ何が起きるかわかりません。「やり残したら後悔すること」を生きている今行って、後悔を少しでも少なくしたいと思わざるを得ませんでした。

ところで著者は、文庫版のあとがきでは、死ぬときに後悔することの26番目として「家族のこと」についてふれ、どんな家族であっても“感謝”を伝えあう関係であってほしいと願っています。

なにはともあれ、それだけは、どんなことがあってもやり残してはいけないと肝に銘じました。

本書は決して新しい本ではありません。しかし内容はまったく色あせておらず、著者に共感すること、参考になることが多くありました。こんな出会いも読書の面白さのひとつです。