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『定年消滅時代をどう生きるか』を読みました

定年消滅時代をどう生きるか (講談社現代新書)

2019年62冊目の読書レポートは、『定年消滅時代をどう生きるか』(著 中原圭介/講談社現代新書 初版2019年12月20日)。書店で目にして、手に取りました。

社会人になったのは1980年代。年功序列、終身雇用、企業内労働組合、新卒一括採用という日本型人事制度は、まだ色濃く残っていました。

当時、「入社したら、その会社で定年まで勤めあげる」というのはごく普通の考え方。途中で転職することや、定年後も働くことなど考えてもいなかったはずです。

その後時代とともに、日本型人事制度は変容してきましたが、日本経済の停滞と経済のグローバル化、また少子高齢化の影響で、雇用慣行はここに来て激変しようとしています。

本書は、経営アドバイザー・経済アナリストとして活動する著者が、この大変革期における働き方について考え、アドバイスをするもの。

変革が起きている背景、企業における採用・雇用形態の変化、これからの人材育成のあり方などを、グラフや図表も交えてわかりやすく解説しながら、人生を豊かにする働き方を示していきます。

著者は、70歳から75歳くらいまで働くのが当たり前になる時代では、ひとつの仕事・会社に従事する期間を15年から20年に区切って(30代後半を第一の定年、50代後半を第二の定年とします)、自身のキャリアを見直し、必要に応じてスキルアップ(ときには転職)をはかっていくことが肝要だと指摘。

また、スキルの基礎として、スマホ、パソコンといったITの世界から離れて読書を習慣化し、考える力を身につけるべきだと語っています。

終身雇用制に守られ、安穏としていた身からすれば、もしかしたら厳しい時代の到来かもしれません。

しかし、新しい能力を身につけることで、新しい人生を切り開くチャンスが巡ってくるとすれば、決してネガティブに考えることではないはず。

それは、50歳を過ぎてから、幸いにも仕事を通して学び直しをすることができ、実際に新しい道が開けた私自身が断言できます。

また著者の言うように、AIにより、これからは短期間で学び直しができるのであれば、中高年でも臆することはありません。

先日、政府(厚労省)は70歳まで働く機会を確保するために、七つの選択肢を設け、企業に努力義務を課す方針を明らかにしました。

これから、職業人生が長くなるのは間違いないでしょう。長く仕事をするなら、やりがいを持って、楽しく働きたいもの。

そのためには、著者のアドバイスに耳を傾け、実践するのが良さそうです。