2020年5冊目の読書レポートは、『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』(著 パリッコ/光文社新書/初版2019年12月30日)。書店で目にして、手に取りました。
もっぱら家飲みですが、毎日晩酌する習慣は、もう何十年も続いています。
健康診断の数値のせいで、残念ながら休肝日になってしまった月曜日と木曜日も、何か飲まないと一日が終わった気がしないため、ノンアルビールは欠かせません。
長年染みついた習慣というのは、簡単には変わらないものです。
本書は、お酒大好きで“酒場ライター”といわれる著者が、自分が味わった“つつましいけど幸せなお酒の飲み方”について綴ったエッセイ。
“つつましい”と言うだけあって、有名な料理も、有名なお酒も登場せず、あくまで、著者が幸せを感じた飲み体験やユニークなつまみの数々が紹介されています。
ファミレスで、カプセルホテルで、デパートの屋上で、はたまた近所の公園で…。
著者はお酒があれば、思いもよらないところでも幸せを感じるようですが、私はさすがにそこまでの境地には至っていません。
そして、その幸福感に欠かせないのが、酒のつまみ。
「缶詰」、「豆腐」、「冷凍食品」といった身近な食べ物。
「肉豆腐」、「餃子」、「チャーハン」といったB級グルメ。
そして、「醤油漬」、「らっきょう漬け」や「創作おつまみ」といった著者自作の品々。
話に出てくるのは、ありふれたものばかり。著者にとっては、その日常感こそが幸せの源のようであり、まったく違うお酒の飲み方を教えてくれます。
だだし、「マック」、「駄菓子」、「惣菜パン」をつまみに酒を飲むこと。これは私の想像をはるかに超えたものでした。
本書を読んで思い出したのは、カレーをつまみに酒を飲んでいた父親の姿。
そもそも、本当の酒飲みにとっては、お酒さえ飲めれば、つまみなどたいした問題ではないのかもしれません。