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『十二人の怒れる男』を観劇

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昨日、渋谷のBunkamuraシアターコクーンで上演中の『十二人の怒れる男』を観劇しました。

少年が父親殺しの罪に問われ、ほとんどの陪審員が有罪(死刑)を確信する中、ひとりの陪審員が無罪を主張したことをきっかけに、段々とその確信が覆り、最後は無罪の評決が下されるというストーリーはよく知られています。

かなり以前に、アメリカ映画を観た記憶はありますが、舞台は初めて。“法廷劇の傑作”と言われるほどなので、この公演を心待ちにしていました。

陪審員を演じるのは、最初に無罪を主張する主役に堤真一さん。

そして、ベンガル、堀文明、山崎一、石丸幹二、少路勇介、梶原善、永山絢斗、青山達三、吉見一豊、三上市朗、溝端淳平と名だたる俳優が出演しています。

それだけに、陪審員それぞれの人間性を浮き立たせる演技は期待通りのもので、センターステージの臨場感も加わって見応え十分。

たったひとりの疑問から、白熱の議論が始まり、証拠や証言の問題点が明らかになるなかで、陪審員の考えが次々に無罪に転じていく。

緊迫の展開に釘付けとなり、感情と感情がぶつかり合う人間模様に心が引きつけられてしまいました。

一方、この作品で改めて気づかされたのは、偏見・先入観・無関心の怖さ、同調圧力の罠と人間の弱さ、そして議論をすることの大切さ。

作品が生まれたのは、60年以上前のことですが、今の時代にこそ意義のあるものだと思えてなりません。

物語のラスト、主役の堤さんが、最後まで有罪を譲らなかった陪審員に手を差し伸べて、一緒に舞台を去っていきます。

二人の心情が交差するのが見えて、胸が熱くなりましたが、論破して溜飲を下げるのではなく、反対する者の思いにも心を寄せる。

「丁寧に議論を尽くす」というのは、こういうことを言うのだと思わずにはいられませんでした。