えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『「顔」の進化 あなたの顔はどこからきたのか』を読みました。

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2021年8冊目の読書レポートは『「顔」の進化 あなたの顔はどこからきたのか』(著 馬場悠男/ブルーバックス/初版2021年1月20日)。

書店で目にして手にとりました。カバーの瞳が目立ちますが、帯がマスクになっているところに、今を感じます。

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(帯をはずしたカバー)

本書は、人類が学者の著者が、ヒトと動物の顔について、進化の過程や特徴(“顔の由来と不思議”)を説き明かす一冊。

「そもそも顔とは何か」から始まり、動物の顔の起源と進化、ヒトの顔の特徴、人種・性別による顔の違い、ヒトの顔の進化、そして日本人の顔の変遷について、イラスト、写真、復元図、立体モデル図などをふんだんに使いながら探っていきます。

ウマ・ネコ・イヌの顔の違い、ヒトの顔の皮膚が露出している意味、眼がふたつで、ヒトの眼が横長の理由、鼻毛の役割、人種による皮膚の色の違い、アジア人の顔が平坦なわけ…。

次々に知る “進化のなぜ”には驚くばかりでしたが、日本人のルーツでもある北方アジア人の「顔は平ら、目は小さく一重瞼、眉・睫毛・唇が小さい」という特徴は、アフリカからやってきたサピエンスが、厳寒に適応するために進化してきた結果といった話に、悠久の時を感じました。

面白かったのは、骨格をもとに再現された日本人の顔の変遷図と、著者の作成した未来の顔のCG写真。

北方アジア人が日本にもやって来て、古墳時代、鎌倉時代、江戸時代、現代と、時代が下るにつれて、顔も少しずつ変化していく様子は目を引きます。

著者によれば、食生活は顔の形に大きく影響していて、硬いものを食べなくなった日本人の顔は、狭く華奢になっているとのこと。

確かに、昭和の顔(私もそうですが)は大きく、平成の顔は小さい印象がありますが、このままいくと、著者が予測した未来人が本当に誕生するかもしれません。

ただ狭く華奢な顔は、咀嚼機能(歯並び)に問題を起こすそうで、健康にも少なからず影響があるでしょう。

未来人の「コーンの上に丸いアイスクリームをおまけして載せたような顔」も見るからにひ弱そうで、“進化”ではなく“退化”としか思えません。

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未来の日本人の顔(P258)

著者は、学校給食を通して、子どもたちに大きく硬いものを食べさせる取り組みをしているそうです。

今、世の中では“小顔”がもてはやされていますが、顔の筋肉と骨を鍛えることに、もっと関心を向ければ、未来の日本人から感謝されるに違いありません。