えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『ヤンデル先生の ようこそ!病理医の日常へ』を読みました。

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2021年13冊目の読書レポートは『ヤンデル先生の ようこそ!病理医の日常へ』(著 市原真/清流出版/初版2021年3月10日)。SNSで知り、手に取りました。

著者(ヤンデル先生)の本に出合ったのは、一昨年出版された『Dr.ヤンデルの病院選び ヤムリエの作法』(丸善出版)が初めて。昨年は『どこから病気なの?』(ちくまプリマ―新書)を読みました。

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 これまで読んだのは、医師の立場から専門的な知見を読者に提供するものでしたが、本書は、病理医の仕事のことや、先生の仕事観、人生観などを綴ったエッセイ。

「病理検査室1日体験ツアー」で、病理医の日常を体験することから始まり、先生の代名詞でもある「ツイッター」について、自身の考え方を紹介。

続いて、病理医になるまでの道のりと病理医に対する思いを語り、そして、人生で免れない四つの苦悩「生・老・病・死」について、先生の考えを明らかにしています。

お医者さんといっても、普通の人にとって病理医は遠い存在。それだけに、仕事の内容は興味深いものがあり、その重要性もよくわかったのですが、先生が病理医を志した理由や、多難な日々を乗り越え、病理医にやりがいを感じるようになった“生成変化”の様子も印象的。

「病(やまい)の理(ことわり)を考えるために全力を尽くす」とか、「情緒を技術と責任の下に引きずり込む」といった言葉には、仕事に対する真摯な姿勢が感じられました。

一方、面白かったのはツイッターの話。

先生によれば、ツイッターの本質は「発信用ツール」ではなく、「同期するツール」であり、「呼応するツール」。「発信は、受信の反射光のようなものです。」という言葉は新鮮でした。

また、「医療情報を広く伝えようとすることは専門家としての矜持である」として、そのためにSNSをどう使うか、深く考えているのも目を引くもの。

一方的な主張をただ繰り返したり、ひたすら承認を求めたりする人たちとは一線を画していて、ツイッターのフォロワーが13万人近くいる理由がわかる気がします。

先生は最後に、天国にいる祖母のエピソードを交えて、「幸福」について考えています。

先生によれば、「幸福」は、目の前にある現象が内心の“ストーリー”とぴったりハマっているときに訪れるもの。

ちょっと分かりにくい感覚ですが、「幸福」は自分の心の中にこそあるということを、改めて思い起こしました。