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読んだ本と出来事あれこれ

『本質を見通す100の講義』を読みました

本質を見通す100の講義 (だいわ文庫 G 257-4)

2017年50冊目の読了は、『本質を見通す100の講義』(森博嗣/だいわ文庫 初版2016年9月15日)です。荻窪の本屋さん「Title」が配信している「毎日の本」で本書のことを知り、手に取りました。2015年に出版された単行本の文庫化です。

 

本書は、著者が日常生活で感じたことについて書いたエッセイを、「社会」、「情報」、「言葉」、「創作」、「人生」の5つカテゴリーに分けて100話収録したものです。タイトルは何か難しい感じがしますが、見開き2ページの短いエッセイなので、構えずに気楽に読むことができます。

 

書かれている内容は面白く頭を刺激しますが、エッセイそれぞれのタイトルも印象的です。『成長時は遠望していたのに、衰退時は近視眼になる』、『知っていても知らない場合の想像はできるが、その逆はできない。』、『「わかっちゃいるけど」は、つまり「わかっていない」のと同じ。』、『「時代が追いついてきた」というとき、たいていは追いついていない。』、『何をつくるかは考えるのに、どう作るかは後回しになる』『個人を歯車に喩える時代は終わった。』『始めるのも、やめるのも、同じくらい力がいる』、『抱えている問題の多さが、その人の深みを醸し出す』といったフレーズは、これだけでも心に残ります。

 

著者は、私たちが普段当たり前だと思っていることや、特に問題とも思えにないようなことにも、「本当はそうではないだろう」と、ひっかかります。著者の言うことがすべて正しわけではないでしょうが、ともすると枝葉末節にとらわれたり、声の大きい人に従ったりと、物事が持っている本来の姿(=本質)を見失いがちになってしまう私達には警鐘となる本だと思いました。

 

読後感(まずまず)