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『しっくりこない日本語』を読みました

しっくりこない日本語(小学館新書)

2017年74冊目の読了は、『しっくりこない日本語』(北原保雄/小学館新書 初版2017年8月6日)です。書店で目にして手にとりました。

北原氏は筑波大学の元学長で著名な国語学者。多くの国語・古語辞典の編纂に携わっていて、著書も多数執筆されています。類著もあるようですが、本書は地方紙の『新潟日報』、大修館書店の『国語教室』の掲載記事などを中心にまとめたものだそうです。

本書では、前半で北原氏が日ごろ見聞きする「変な日本語 気になる日本語」を取り上げて、どこが変なのか何が問題なのかを解説し、さらに「世相を映して生まれる日本語・間違えやすい日本語」を取り上げて、言葉の意味を明らかにしながら著者の感じたところを書き綴っています。そして後半では、フリーアナウンサーで日本語にも造詣が深い梶原しげる氏との対談、そして文化庁国語審査官で北原氏の教え子でもある鈴木仁也氏との対談が収録されていて、今の日本語について語り合っています。

言葉は変遷するので、日本語の乱れとか変な表現というのは、今に始まったものではないのでしょうが、それでも国語学者からすると気になって仕方ないというのがよくわかります。私も、北原氏の指摘にはうなずくことの方が多かったのですが、「世間ずれ」や「噴飯もの」正しい意味、また「絆を深める」という表現について、絆は「つな」なので「強める」「太い」などが正しく、「深める」はおかしいということは、本書で知ることになりました。

手紙ではなくメールを使うようになり、そしてLINEを使って主語も述語もない「打ち言葉」でコミュニケーションを交わすようになり、これから言葉はますます変わっていきそうです。本書で一番驚いた言葉は「ごきぶり」。「ごきげんよう、お久しぶり」ということだそうですが、教えてもらわないと意味はわかりません。こんな言葉が普通に飛び交うようになるのは勘弁してほしいと思います。

読後感(面白かった)