えむと、メモランダム

読んだ本と出来事あれこれ

『大人のための言い換え力』を読みました

大人のための言い換え力 (NHK出版新書 538)

2018年10冊目の読了は、『大人のための言い換え力』(石黒圭/NHK出版新書 初版2017年12月10日)です。

本書は、国立国語研究所の教授で言語学者である著者が、表現を言い換える力(言換え力)は文書の質を高める基盤であり、また私たち大人にとって必須のコミュケーション能力だとして、その考え方と技術を身につけるための10の方法-①知的に言い換える ②わかりやすく言い換える ③正確に言い換える ④やわらかく言い換える ⑤ダイレクトに言い換える ⑥イメージ豊かに言い換える ⑦素直に言い換える ⑧穏やかに言い換える ⑨シンプルに言い換える ⑩言葉を尽くして言い換える-を具体的に紹介するものです。

仕事の関係で、「抗議状」や「お詫び状」といった気を遣うビジネス文書の作成を依頼されることがあるため、電子辞書はもちろん、『日本語 語感の辞典』(中村明/岩波書店)なども手元に置いていますが、それでもこちらの意図をどういう表現で伝えるか、いつも悩まされます。また昨年は、このブログがきっかけで文章を書くことの難しさを改めて実感し、文章技術的な本も何冊か読みましたが、それで自在に文章が書けるようになったかと言えば、決してそんなことはありません。

そんな事情もあり、書店で本書を目にしてすぐに買い求めたのですが、もちろん、一読しただけで10の方法を習得するのは無理な話です。しかし、日常的な表現を材料にしてわかりやすく解説されているだけでなく、設問を設けて読者に考えさせたり、図表を使用したり、章ごとの“まとめ”もあったりして、本の作り方も工夫されているので、数多くのヒントを得ることができました。

個人的には、「知的に言い換える」「正確に言い換える」「イメージ豊かに言い換える」「シンプルに言い換える」は参考になるところが多く、また表にまとめられた「話し言葉と書き言葉の接続詞対照表」「話し言葉と書き言葉の副詞対照表」「論文・レポートでよく使われる動詞一覧」は重宝しそうです。

辞書に加えて本書もそばに置き、折りにふれて読み返したいと思っています。

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(P96 「論文・レポートでよく使われる動詞一覧」の一部)

読後感(参考になった)