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『教養としてのテクノロジー AI、仮想通貨、ブロックチェーン』を読みました

教養としてのテクノロジー AI、仮想通貨、ブロックチェーン (NHK出版新書)

2018年24冊目の読了は、『教養としてのテクノロジー AI、仮想通貨、ブロックチェーン』(伊藤穰一 アンドレー・ウール/NHK出版新書 初版2018年3月10日)

つい最近まで、AI、仮想通貨、ブロックチェーンなんて自分には関係ない話だと思っていました。しかし、言葉を見聞きするだけでなく、将棋や囲碁のソフトが人間を打ち負かし、仮想通貨が社会の注目を集め、自動車の自動運転が現実となるに及んで、さすがに無関心でいるわけにはいかないと思い、本書を手にとりました。

著者であるマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長の伊藤さんは、現代社会を生きるためには、「教養」としてのレベルでテクノロジーについて本質的理解が必要であり、「テクノロジーが変えつつある世界」をきちんとした視点で捉えなければならないとしていて、本書では、テクノロジーがもたらす世界の変化を「経済」「社会」「日本」という3つのパート(7章)に分けて考えていきます。

「経済」ではAIと労働の関係、仮想通貨と国家と関係、ブロックチェーンと資本主義の関係など経済の未来について解説・レポートし、「社会」では、人間・都市・教育とテクノロジーの関係から社会の未来を考え(教育についてはアンドレー・ウール氏の話)、そして「日本」では、日本人はこれからどう変わるべきか、2020年東京オリンピックを契機に日本をどうアピールするか、日本の未来について伊藤さんの思いが語られています。知らない世界の話が多く、どれも興味深く読みましたが、自動運転の「倫理」の問題(判断のアルゴリズムの問題)は、テクノロジーと人間との関係を考えさせられ、特に印象に残りました。

テクノロジーそのものを解説したものではなく、またテクノロジーとは直接関係ない話も出てくるので、本書だけでテクノロジーの教養を身につけるのは、さすがに難しいかもしれません。しかし、テクノロジーが社会を大きく動かしていること、テクノロジーによって私たちの生き方や考え方も変わっていかざるを得ないことはよくわかりました。インターネットは世界を大きく変えましたが、本書はさらに大きな変革が目前に迫っていることを実感させます。

読後感(興味深かった)