えむと、メモランダム

読んだ本と出来事あれこれ

『昭和少年少女ときめき図鑑』を読みました

昭和少年少女ときめき図鑑 (らんぷの本)

2018年70冊目の読了は、『昭和少年少女ときめき図鑑』(著 市橋芳則 伊藤明良/河出書房新社 初版2018年9月30日)です。書店で目にして手に取りました。図鑑なので(と言ってもA5版の単行本ですが)、“読了”というよりは、“見終わった”の方がふさわしいかもしれません。

本書は、愛知県北名古屋市にある、北名古屋市歴史民俗資料館(別名「昭和日常博物館」)のコレクションを紹介したものです。この博物館のことは本書で初めて知りましたが、昭和時代(メインは昭和30年代、40年代のようです)のありふれた日常生活のなかで使われた様々なものを収集・展示し、また収集品を利用して、高齢者ケア・認知症予防といった取り組みも行っているそうです。

本書では、その収集品を中心として、昭和30年代から40年代が少年・少女時代であった人にとって懐かしい品々が、5つの章に分けて、当時の写真や資料などとともに数多く登場します。

まず第1章「幼い頃のハジメテ・トキメキの体験」では、幼児玩具、三輪車、遊園地の乗り物、入園・入学用品などが出てきて初めての体験を振り返ります。次に第2章「少年少女のあこがれ・羨望の的」では、おもちゃ、駄菓子屋、ボードゲーム、少年・少女雑誌や文房具などが、第3章「かわいいを身にまとう」では、当時の子供服、アップリケ、あこがれのファッション(おもに女の子)などが、さらに第4章「大好物はどんなもの?」では、カレー、キャラメル、ドロップ、牛乳・乳酸菌飲料、粉末ジュースなどが紹介され、そして第5章「暮らしのデザイン」では、花柄、エジプト柄といったデザインと貯金箱、こけし、合体家電などが出てきます。

昭和40年代は私の少年時代とちょうど重なります。私はまさに本書のターゲット世代で、ページをめくるたびに心の中で“懐かしい”を連発。それとともに、補助輪なしで初めて自転車に乗れたときのこと、「野球盤」を買ってもらって飛び上がらんばかりに嬉しかったこと、粉末ジュースの素で作ったジュース(ソーダもありました)を喜んで飲んでいたこと、あげたら切がないくらい当時の思い出が次々に甦ってきました。

また、本書で印象に残ったことの一つに、掲載されているスナップ写真があります。同時代なので当然といえば当然なのですが、私のアルバムにもよく似た感じの写真があることが思い出されて、“時代”というものが持つ面白さを発見した気がしました。

「ブリキのおもちゃ」、「めんこ」、「ソノシート」など今ではすっかり見かけなくなったものもたくさんあります。しかし、物はなくなっても、それにまつわる記憶は消えることがありません。普段意識することはありませんが、人生に彩りをそえるかけがえのないものになっています。

機会があれば、収集品の実物をぜひ見たいものです。

読後感(楽しかった)