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『人生の十か条』を読みました

人生の十か条 (中公新書ラクレ 634)

今年74冊目の読了は、『人生の十か条』(著 辻仁成/中公新書ラクレ 初版2018年10月10日)です。書店で目にして手に取りました。

辻さんといえば、作家、ミュージシャン、映画監督と多才な方。女優さんとの結婚や離婚も話題になりましたが、私たちと同じように、時に苦難に遭遇し、大きな壁にぶつかりもします。

そんなとき辻さんは、苦難を乗り越える術として、自分のために「人生の十か条」を考え、唱えてきたのだそうです。

本書は、辻さんがツイッターでも発信してきた様々な「人生の十か条」と、自身のWEBサイト「Design Stories」の連載コラム『人生は後始末』、そして読売新聞社の「ヨミドクタープラス」の連載エッセイ『太く長く生きる』を組み合わせ、加筆・編集したもの。

本書では、[幸運]、[悩む]、[人間関係]、[衝突]、[健康]、[心]、[老い]、[生と死]、[感謝]、[人生]の10のテーマに分けて全部で30の十か条が紹介され、あわせて「十か条」についての思いや、苦難を乗り越え前向きに生きていくためのヒントが綴られています。

十か条には、「運気を下げない十の方法」、「心を癒やす十か条」、「気持ちを軽くするための十か条」といったものから、「頭にきてもいちいち相手にしない十の心得」、「つまんないを変えちゃえ十か条」、「基本ネガティブなんだけど前だけを向いて生きてる人の十か条」といったユニークなものまであって、これだけあれば、どんなときも支えになってくれそうです。

また十か条に続くエッセイでも、自分の生き方を考えさせるもの、人生の励ましとなるもの、印象的なフレーズがたくさん登場します。

「“なぜ?”と疑問を持つことが人間を生かす大きな原動力。」
「本当の反省は自分を内部で変えること。本当の反省を持った人だけが前に進める。」
「乱暴な言葉をまき散らす人間の周りには暴力とか、犯罪とか、哀れなものばかりが集まっている。美しい言葉を丁寧に伝える人には、それにふさわしい幸福、穏やかな人生、周囲との調和が寄り添っている。」
「辛いという字に、一を足すと、幸せという字になる。辛いから一つ前進してみる。一つ足してみる。そうすれば辛いは幸せになる。」

どれも心に響き、気持ちを前向きにさせてくれますが、“弱い人間”に対する辻さんのやさしさも感じ取ることができます。

ところで、私が「いいなあ」と思った十か条は「長生きするための十か条」(P100-101)と「おかげ様の十か条」(P202-203)のふたつ。

「長生きするための十か条」
その一。何事も急がず
その二。たまに怒ってガス抜きをし
その三。毎日を切に過ごし
その四。ストレスや不安には近づかず
その五。穏やかな心で貧しくとも優雅に
その六。家族と好きな友人に囲まれて
その七。控えめに優しく
その八。ささやかな目標を一つ持ち
その九。周りに感謝を忘れず
その十。愛を捧げる

これからの生き方にはぴったりです。心は楽に、でも、「切に生きる」(一瞬一瞬を精一杯生きる)ことは、死ぬまで心がけなければいけないのだと思います。

「おかげ様の十か条」
その一。ご先祖さまに感謝して
その二。たまには親に電話をし
その三。隣人には笑顔忘れず
その四。親しい人にはいつもありがとう
その五。友だちのことを心配し
その六。愛するものを抱き寄せて
その七。自分の身体をいたわり
その八。たまには魂を解放して
その九。口元緩めて笑ってみたらいい
その十。世界を慈しみ、人類の平和を願ってみるもよし

人は多くの人に支えられて生きていますが、ともすると忘れがち。だからこそ「おかげ様」という感謝の気持ちを持つことは大切です。感謝の気持ちは自分の心も豊かにしてくれると思います。

読後感(よかった)