昨夜(10月10日)、「NHK音楽祭」のコンサートがあり、会場のNHKホールに足を運びました。いつもと違い、祝祭的な雰囲気です。
昨日は、トン・コープマンの指揮とNHK交響楽団の演奏によるオール・モーツァルト・プログラムで、前半は『交響曲第40番』。
N響の安定感はいつも通りでしたが、昨日の座席は一階席の6列目ということでステージに近い場所。二階席で聴くことの多い定演にも増して、臨場感のある演奏を味わうことができました。
それもあってか、第一バイオリンの繊細な音色が手に取るように聴こえてきたのは新鮮で、バイオリン協奏曲を聴いているような感覚は、今も残ったままです。
プログラムの後半は、イツァベル・アリアス・フェルナンデス(ソプラノ)、藤木大地(カウンターテナー)、パトリック・グラール(テノール)、クラウス・メルテンス(バリトン)と新国立劇場合唱団を迎えての『レクイエム』。
『レクイエム』全曲を生演奏で聴くのは初めてで、とても楽しみにしていました。
まず目を引いたのは、トロンボーンが合唱団の真ん中、ソリスト、ティンパニー、トランペットが舞台下手という独特の配置。作品の魅力を引き出すためなのでしょうが、珍しく感じました。
そして、コープマンさんの指揮のもと、ソリスト、合唱団、オーケストラが一体となって織りなす演奏は期待通りのもの。
ソリストでは、急遽代演することになった藤木大地さんのカウンターテナーや、パトリック・グラールさんのテノールが印象に残りましたが、昨日は何と言っても新国立劇場合唱団。
劇的な歌声に心がしめつけられ、静謐な歌声には心が洗われるよう。有名な「怒りの日」と「涙の日」も格別で、レイクエムの世界を堪能しました。
生演奏の響きは、やはり一味も二味も違います。