2020年10冊目の読書レポートは『画文集 芸人とコメディアンと』(著 高田文夫 峰岸達/二見書房/初版2019年12月25日)。
SNSで本書のことを知り、新宿の紀伊國屋書店本店で購入。著者お二人の直筆サインカードがついていました。
本書は、戦後の名だたる芸人やコメディアンを取り上げ、高田先生がエピソードを綴り、峰岸先生がイラストを描いた“画文集”です。
登場するのは高田先生が選び抜いた、エノケン・ロッパ・金語楼に始まる31組。
伴淳三郎、清川虹子、森繁久彌、三木のり平、フランキー堺、渥美清、三波伸介、伊東四朗、樹木希林、イッセー尾形といった喜劇人たち。
落語家では、志ん生、三平、志ん朝、談志に鶴瓶。
漫才・コントの芸人では、トニー谷、脱線トリオ、クレージーキャッツ、コント55号、ザ・ドリフターズ、やすし・きよし、BIG3のタモリ、たけし、さんま。
そして清水ミチコ、ダウンタウン、爆笑問題、サンドウィッチマン、ナイツといったちょっと若い面々と吉本新喜劇。
多くは「昭和の時代」を彩り、一世を風靡した人たちですが、子供の頃から落語や漫才、コメディが好きだった私にとっても納得の豪華メンバー。
さすがに、エノケン・ロッパ、志ん生はよく知りませんが、名前を見ているだけでも楽しくなります。(ちなみに金語楼はNHKのTV番組「ジェスチャー」で見ていたことを覚えています。)
もちろん、高田先生ならではの話はすこぶる面白く、お笑いの歴史を知るうえでも貴重なもの。
小さい頃、森繫久彌さんの家に忍び込んだとか、三木のり平さんとよく飲んでいたといった“秘話”は、さすが先生といった感じです。
一方、峰岸先生の味のあるイラストは言うまでもなく秀逸。見ているだけで笑いがこぼれてきますが、「スチャラカ社員」、「てなもんや三度笠」を欠かさず見ていたことや、タモリの懐かしい「芸」のことなど、先生のコメントも心に残りました。
本書に登場したのはほんの一握り。記憶に残る芸人、コメディアンはまだたくさんいます。ぜひ本書の第二弾、第三弾を期待したいところです。
ところで先日、新型コロナウイルスによる肺炎のため、志村けんさんが亡くなられ、日本中が驚きと悲しみに包まれました。
志村さんといえば「ザ・ドリフターズ」。ただ、志村さんの頃の「8時だヨ!全員集合」はあまり見ておらず、私の場合フジテレビの「ドリフ大爆笑」の方が印象的。
数年前、NHKで放送された「となりのシムラ」で志村さんが演じた“普通のおじさん”のコントも忘れ難いものです。
峰岸先生のイラストでは、まだ若く、やんちゃな感じが窺える志村さんが描かれていますが、悲しみとともにこのイラストを見返すことになるとは、思ってもいませんでした。
ご冥福を心からお祈りいたします。