えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『インプットした情報を「お金」に変える 黄金のアウトプット術』を読みました

(148)黄金のアウトプット術: インプットした情報を「お金」に変える (ポプラ新書 な 9-1)

今年30冊目の読了は、『インプットした情報を「お金」に変える 黄金のアウトプット術』(成毛 眞/ポプラ新書 初版2018年4月9日)。成毛さんお馴染みの「おや、こんな新刊が発売されましたよ!」のつぶやきで本書のことを知り、手に取りました。

タイトルだけ見ると、マネタイズが目的のようですが(結果的にそうなることもあるかもしれませんが)決してそうではありません。

成毛さんは、これからのビジネスパーソンには、得た知識や情報を「カタチ」に変えて(アウトプットして)、お金と同じくらい価値あるものにすることが求められるとしています。本書は、成毛さんがその理由を示したうえで、成毛流のアウトプットの考え方と方法を紹介するものです。

アウトプットといっても様々なスタイルがありますが、成毛さんが本書で伝授するのは、アウトプットの基本である「書く」ことと「話す」ことについて。そして、アウトプットをよりいいものにする「見た目」のアウトプット術や「対話術」についてまで話が及んでいます。

「書く」ことについては、成毛さんが主宰している書評サイト「HONZ」のレビューも例にあげながら、上手な文章の書き方を具体的にアドバイスしています。「紹介文を書け」、「書いたら一晩寝かせる」、「媒体を意識する」、「名文家でなく名マーケットであれ」といった話、また「HONZ」のレビューの“型”をお手本にした文章構成の方法は、「HONZ」のレビュアーになるためのガイドのような感じもありますが、自分にとってはとても参考になりました。

余談ですが、文章のリズムを整えるための例文として「あたり前田のクラッカー」というキャッチフレーズが登場します。意識的なのかもしれませんが、同世代のシンパシーを感じて、思わず笑ってしまいました。

一方、「話す」ことについても、「スライドは1枚1分」「資料は配布しない」など具体的なテクニックが紹介されています。また「毛糸玉から毛糸を引きぬく」、「プレゼンは弁当だ」といった面白い話もあって、人前で話すことが少ない人にとっても、表現方法を考えるうえで役立ちそうです。

成毛さんは、「0と0.1の間は、0.1と100の間よりも遠い。」「100メートル走を見ているだけの人と、実際に走ってみる人との間には、埋めがたい溝がある。」と語り、また「書くこと話すことは反復練習で上達しやすい。まずはやってみることだ」と語っています。

このブログを始めて1年以上経ちます。依然として書くことは難しいですが、少し慣れてきたせいか“表現すること”の面白さを感じられるようになりました。成毛さんの言うことはよく理解できます。

「HONZ」のレビュアーの方にはとても及びませんが、成毛さんのアドバイスを参考に、ブログを続けたいと思っています。

読後感(参考になった)

『ルポ 中国「潜入バイト」日記』を読みました

ルポ 中国「潜入バイト」日記(小学館新書)

今年29冊目の読了は、『ルポ 中国「潜入バイト」日記』(西谷 格/小学館新書 初版2018年4月3日)。書店で目にして手にとりました。

中国人観光客が増加し、観光地だけでなく街中でも中国人の姿を見かけるのは、日常的な光景になりました。しかし、日本と中国の関係、双方の国民感情は決して良好とはいえません。中国人の振る舞いに驚いたり、憤ったりすることもよくあります。一方で、気になる存在でありながら、中国人のことをよく知らないことも事実です。

本書は、フリージャーナリストで、2009年から2015年までは中国・上海で暮らしていた西谷さんが、中国や中国人をもっと深く知りたいと考え、自ら“潜入労働”したときのルポルタージュです。問題を深く掘り下げたレポートというよりは、軽妙な体験記という感じなのですが、西谷さんの体当たり取材で、中国人のありのままの姿が垣間見えてきます。

西谷さんが潜入したのは、中国で「上海の寿司屋でのバイト」、「反日ドラマの日本兵役」、「パクリ遊園地でのピエロ役」、「中国の婚活パーティへの参加」、「上海の高級ホストクラブのホスト」。帰国してからは「爆買いツアーのガイド」、「中国人留学生寮の管理人」。

西谷さんの中国語が堪能ということもありますが、まったく物怖じせずに現場に飛び込み、取材よりそこで働くことが目的であるかのように、いろいろ考えをめぐらせ馴染んでいく様子は驚くばかり。中国人の言動だけでなく、潜入を楽しんでいるような西谷さんの姿も印象的でした。

それぞれのエピソードを読むと、中国人が普段どんなことを考えているのか、日本人のことをどう思っているのか、その一端を知ることができます。

日本人からすると眉をひそめるようなこと、顰蹙を買うようなことでも、中国人は意に介さない。日本人が中国人を意識するほどには、中国人は日本人のことを意識していない(中国人も日本人のことを知らない)。反日ドラマは「水戸黄門」であり、日本人=お金持ちのイメージは完全に崩壊している。やっぱりそうかと思うことも、新しく知ったこと、驚いたことも数多くありました。

広大な国土とたくさんの人、繰り返される支配者の興亡、そんな中で生きてきた民族と、狭い島国で、みんな同じように生きてきた民族では、物の見方や考え方が違って当然です。

また、中国人がとかく言われる旅先のマナーや爆買いにしても、そんな遠くない昔、日本人も海外旅行ではマナーがなっていないと言われ、所構わずお土産を買い漁る姿は白い目で見られていました。一般の人に「著作権」の意識が高まってきたのも最近のことです。中国人のことを、今の日本人の視点だけで語るわけにはいかないでしょう。

ただそれでも、「ニュースなど興味がなく、意見を言うだけムダ。そんな他人のことより、自分自身のことを考えよう、という風潮が蔓延している。」「不正な手段で巧みに利益を得る人を肯定的に評価する向きもある。苦労してオリジナルを作るより、うまくパクる方が得策という風潮がある。」「下々の人間は常に、いかにして法の抜け穴を見つけるかに心血を注ぐ。」「一度仲良くなると情に厚いが、赤の他人には極めて冷淡。」といった話は、中国人全部にあてはまるわけではないとわかっていても、やはり強烈で、“違い”を思い知らされます。

西谷さんは、「中国人の仕事の進め方は大風呂敷を広げて、ダメなら修正を重ねる、細かな計画を立てて、着実にその通り進める日本人とは、やり方が違う」と指摘し、あとがきでは、「中国社会はすべてにおいて日本よりも“雑”で“いい加減”なのだが、それはよく言えば臨機応変さに富んだ柔軟な世の中とも言える。」と語っています。

あらゆるものがグローバルに、スピーディに動く時代、中国が軋轢をものともせず、ダイナミックな動きを見せるつける理由がわかるような気かしました。

読後感(面白かった)

『やってはいけない老後対策』を読みました

やってはいけない老後対策: 定年後貧困にならないための処方箋 (小学館新書)

今年28冊目の読了は、『やってはいけない老後対策』(大村大次郎/小学館新書 初版2018年4月3日)。定年後(老後)をテーマにした本は書店にたくさん並んでいます。私自身も何冊か読んできましたが、「元国税調査官が教える」というキャッチコピーに惹かれてついつい手に取りました。

本書によると、平均的な会社員がもらえる厚生年金は、税金や社会保険料が控除されると生活保護レベルとあまり変わらないそうです。しかも年金は今後減ることはあっても増えることは考えられません。

本書は、そんな大変な生活が予想される中、税金のプロともいえる大村さんが、老後破綻を防ぐために少しでもお金を増やす(残す)ための方法を伝授するものです。

生活のダウンサイジングの重要性、年金や退職金のもらい方、投資のリスクといった定番のテーマはすでに“学習済み”ですが、「定年後のアルバイトはお金が戻ってくる」、「子どもの扶養に入る手がある」、「プチ起業で節税できる」など本書で初めて知った内容もたくさんあって、これからの参考になりました。
もちろん自分には関係ない話もありますが、ちょっとした知識でも、それが有ると無いとでは大きな違いがあることを、つくづく感じさせられます。

人生100年時代を迎え、今後65歳定年が普通になれば、70歳まで雇用延長して年金は70歳からというのも現実味があります。よほど財産でもない限り、定年後はゆっくり余生を過ごすなどということは無理な話になりそうです。

将来に対する不安感がなくならない限り、本書のような本は本屋さんに並び続けることでしょう。売れるテーマがあるというのは悪いことではありませんが、ちょっと複雑な気持ちにもなります。

読後感(参考になった)