えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『本屋、はじめました』を読みました

本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録

今年39冊目の読了は、『本屋、はじめました』(辻山良雄/苦楽堂 初版2017年1月10日)です。新聞など様々な書評で取り上げられた本で、ぜひ読んでみたいと思い手に取りました。この出版社の名前は本書で初めて知ったのですが、本書専用の栞がはいっていたり、学術書でもないのに索引があったり、奥付に紙の仕様が書いてあったりと、あまり見られない作り方がされています。

本書は、リブロ池袋本店のマネージャーだった著者が、2015年7月の同店の閉店後、2016年1月に東京・荻窪に新刊書店「Title」を開業するまでと開業後の日々を綴ったものです。
開業場所の選定、物件探し、店舗の改装、取次との折衝、本の選定と並べ方、カフェづくり、ブックカバーやホームページのデザイン、さらには開業後の日常などが具体的に書かれているのですが、巻末には「事業計画書」と開業から10カ月間の営業成績まで公開されています。書店を開業したい人に限らず独立開業を目指す人にとって、とても参考になる内容ではないでしょうか。

ここまでオープンにしているのは、著者に続く人の役に立てばという気持ちの表れかもしれませんが、誰にでもできるというわけではないでしょう。
著者は、めぐりあわせに恵まれたと言っていますが、本に対する強い思いと十分な準備があったことで、周囲の理解や協力も得られ、困難を乗り越えながら、事が運んでいったのだと思います。本書を読んでいて、昔、家の近くに本屋さんが新しく開店し、店主がのんびり店番をしている様子を見て、自分もいつか本屋をやりたいと思っていた時期があったことを思い出したのですが、著者と比べると動機はあまりにも不純で、恥ずかしい限りです。

今、書店の数はどんどん数が減っていますが、一方で個性的な書店もあちこちで生まれているようです。荻窪は決して遠くないので、ぜひ訪ねてみたいと思います。

読後感(よかった)