えむと、メモランダム

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『暮らしのなかのニセ科学』を読みました

暮らしのなかのニセ科学 (平凡社新書847)

今年88冊目の読了は、『暮らしのなかのニセ科学』(佐巻健男/平凡社新書 初版2017年6月15日)です。書店で目にして手に取りました。

本書は、理科教育の専門家である著者が、「ニセ科学」といわれるものの中でも、健康や医療に関するものを取り上げ、それらがどれほど科学的に根拠のないものであるかを明らかにしたものです。

本書で取り上げられているのは、「ガン治療法」「サプリメント」「ダイエット法・健康法」「食品添加物」「水」「マイナスイオン・抗菌商品」「EM菌」など。著者はそれぞれの実態についてわかりやすく解説していますが、「がんを防ぐための12か条」から「ひどく焦げた部分は食べない」がなくなっていたこと、多くのサプリメントは有効性の根拠が弱いこと、水道水の安全性チェックはミネラルウォーターよりずっと厳しいこと(ミネラルウォーターはメーカーまかせ)、健康にいいともてはやされている「マイナスイオン」「ゲルマニウム」「プラズマクラスター」も科学的根拠に乏しいことなど、本書を読んで改めて認識したことが数多くありました。

本書でも言われているように、日本人はことのほか健康に関心があり、また最近では「除菌」「抗菌」といった言葉に敏感です。そのためもっともらしいことを言われると、疑うより先につい信じてしまうのかもしれません。(私も今から20年くらい前に、営業マンが目の前で行った、今から思うと少し怪しい実験を見て、当時としては結構高価な「アルカリイオン整水器」を買った忘れがたい経験があります。)

もちろん、健康にいいと信じてサプリメントや水を口にするのは、あくまで個人的な問題であり、他人が批判することはできません。しかし、それが命に関わってきたり、単なる金儲けの手段であったり、またニセ科学が教育現場にまで入り込んできたりするのは、見過ごすわけにはいかない事態であり、社会全体で考えていくべき問題だと思います。

「ニセ科学」をカムフラージュしたビジネスは、これからも絶えることがないでしょう。本書では、「ニセ科学」にだまされないための方法が紹介されています。「抗酸化作用」「波動」「エネルギー」「免疫力/自然治癒力」「万能」「天然」といったキーワードは要注意ということですが、著者が言うように、「たった一つのもので、あらゆる病気が治ったり健康になったりする万能のものは存在しない」という当たり前のことに考えをめぐらすことが、何より大事なのだと思います。

読後感(考えさせられた)