えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『法のデザイン』を読みました

法のデザイン?創造性とイノベーションは法によって加速する

今年29冊目の読了は、『法のデザイン』(水野祐/フィルムアート社 初版2017年2月28日)です。時折読んでいるブログ「企業法務マンサバイバル」で知り、手に取りました。

今回知ったことですが、著者は、著作権などの知的財産権を主に扱う若手の弁護士であり、クリエーターの表現活動を法律家の立場からサポートする異色の存在ということで、テレビ番組でも取り上げられたそうです。

著者は、本書において、情報化社会における「法」をとりまく環境を考察し、これから重要になるであろう「リーガル・デザイン」という考え方を提唱しています。“アフターインターネット時代”においては、「法」を、自由を規制し、創造性やイノベーションを阻害するものとして嫌悪するのでなく、創造性やイノベーションを加速するための「潤滑油」として捉え、そのような視点でデザインすることが必要だということなのですが、著者は、一般論に留まらず、音楽、出版、アート、写真、ゲーム、ファッションといった著者の専門分野、さらに不動産、金融、家族、政治といった社会的分野において、実際に起きている事象を取り上げて、法をどうデザインすべきか具体的に論じています。

インターネットは私たちの世界を劇的に変化させ、そして加速度的に変化を続けていますが、そのスピードに「法」が対応しきれていないのは紛れもない事実で、継ぎ接ぎだらけの著作権法をみると、それがよくわかります。また、本書でもふれられていますが、オリンピックのエンブレム問題のように、ネット世論が「法」を乗り越えるような事態も起きています。このような世界では、固定的な法規範で対応していくことに無理があることは明らかで、著者の考えは、取り入れられて然るべきものだと思います。

本書では、様々なネットビジネス、プラットフォームが紹介されていますが、知っていたのは、ごくわずかでした。情報がとめどもなくあふれる中、私たちが知ることができるのは、砂浜にある砂一粒でしかないことを改めて実感させられました。

読後感(よかった)