えむと、メモランダム

読んだ本と出来事あれこれ

『定年後のお金 寿命までに資産切れにならない方法』を読みました

定年後のお金 寿命までに資産切れにならない方法 (講談社+α新書)

2018年59冊目の読了は、『定年後のお金 寿命までに資産切れにならない方法』(著 野尻哲史/講談社+α新書 初版2018年7月19日)。「死ぬまでお金に困らない」という帯コピーが目にとまり、思わず手に取りました。

「人生100年時代」という言葉を目にすることが増えています。日本人の寿命を考えれば、100歳はともかく、90歳まで生きることは珍しいことでなくなるかもしれません。そうなると、会社員や公務員にとってはリタイアしてからの30年ほどをどう過ごすかは大問題。“定年本”がブームになる理由はよくわかります。

とりわけ気になるのはやはりお金のこと。少子高齢化が進めば、定年70歳という時代が到来し、給料をもらえる期間も長くなるかもしれません。しかし生きる期間が長くなれば、それだけ医療や介護にかかる費用も増加する可能性があり、よほど余裕がない限り、いつまでたってもお金の心配はついてきます

それでも、20代、30代など若い世代は時間的なメリットがあるので、国も後押しするNISA、iDeCoといった制度を活用して資産形成を心がければ、何かしらの備えはできるかもしれません。ところが、今50代から60代の人(私もその一人です)は、そんな準備をするには間に合わず、かといって親ほどの年金はもらえず、貯金に利息はつかず、著者によれば「エアポケット世代」なのだそうです。

本書は、フィデリティ退職・投資研究所の所長を務める著者が、この「エアポケット世代」に向けて、“資産の引き出し方”という観点から、蓄えてきた資産の寿命を延ばす方法を解説したもの。

95歳まで生きることを前提に、人生を「積み立てながら運用する時代」(60歳まで)、「使いながら運用する時代」(60歳から75歳)、「使う世代」(75歳以降)の3つのステージに分け、「逆算の資産準備」、「目標代替率」、「3%運用4%引き出し」といった考え方を示しながら、資産切れにならない方法を具体的に紹介しています。

内容はそれほど難しくなく、これまで、お金の引き出し方など考えたこともありませんでしたが、お金を長持ちさせるノウハウを知ることができて参考になりました。

ただし、誰もが書いてあるとおりにできるかとういうと話は別。私のように金融リテラシーがない者にとっては、肝心要の「3%運用」など簡単にはできそうもありません。(もっとも運用の成否を気にするほどの資産もないのですが…。)まずは、できるだけシンプルな生活を心がけることから始めた方がよさそうです。

それにしても、寿命が延びることはいいことに違いありませんが、手放しでは喜べないとつくづく思ってしまいます。

読後感(参考になった)