えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『失われたドーナツの穴を求めて』を読みました

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今年60冊目の読了は、『失われたドーナツの穴を求めて』(芝垣亮介・奥田太郎/さいはて社 初版2017年7月4日)です。荻窪の書店「Title」さんのイベント案内で本書のことを知り、面白そうなので手に取りました。同店で行われる刊行記念のトークイベントにも参加する予定です。

本書を手にしてまず驚いたのは、本の右肩に「穴」があいている(貫いている)ことでした。もちろんドーナツの穴の本だからだと思います。子供向けの本には変形・加工したものがよくありますが、穴があいている一般書を目にしたのは初めてです。これだけでも本書は希少価値があるかもしれません。
いつもこのブログで使っているネット書店の画像ではわかりにくいので、本に鉛筆を刺した写真を自分で撮りました。

本書は、「ドーナツの穴」について、歴史学、経済学、数学、言語学、哲学などの専門家が、それぞれの立場で研究・調査した成果をまとめたものです。研究成果の論文集といってもいいかもしれません。「ドーナツの穴」の研究など突飛すぎて普通では考えられませんが、大学の先生たちは、大真面目に、そして遊び心を持って取り組んでいます。

論文といっても、専門家向け(日本にドーナツの穴の専門家はいないと思いますが)ではないので、難解なものではなく(数学的な話、哲学的な話はちょっと難しかったですが)、ドーナツの穴の歴史、ドーナツの穴の売り方、ドーナツの穴から考えるコミュニケーション、言語学を用いたドーナツの穴の分析など、どれも興味深いものでした。いつからドーナツに穴があいたのか、穴はどうやって作られるのか、穴と輪の違いは何か、とにかく錆びつきかけた頭に刺激をどんどん与えてくれます。また本書には、ドーナツの穴に関係するコラムも収録されています。中国とドーナツについての話、実際のドーナツ屋さんの話、競馬の穴の話など、これも面白く読みました。

本書を読んで、好奇心・探求心があれば、どんなものにも新しい発見があり、どんなものからでも新しい発想が生まれ、新しい世界が広がるということがよくわかりました。本書の意義もおそらくそこにあるのだと思います。
「当たり前」「くだらない」「つまらない」と思った瞬間、思考は停止してしまい、様々な可能性が消えていきます。それは何も学問の世界だけでなく、仕事や日常生活でも同じに違いありません。ドーナツの穴を通して、大切なことを教えてもらった気がしました。

「Title」さんのトークイベントでどんな話が出るのか、とても楽しみです。

読後感(おもしろかった)