えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』を読みました

日本史の内幕 - 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで (中公新書)

今年86冊目の読了は、『日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』(磯田道史/中公新書 初版2017年10月25日)です。書店で目にして手に取りました。

著者の磯田さんは人気の歴史学者。著書も多数ありますが、本書は読売新聞や雑誌に掲載された記事をまとめたもので、磯田さんが読み解いた古文書を手掛かりに、おもに戦国時代から江戸・幕末期にかけての歴史のエピソードが60話以上収録されています。磯田さんの著書はどれもわかりやすく、読みやすいですが、本書も例外ではありませんでした。

磯田さんは本書のまえがきで、「古文書を通して、日本史を現場から内側からみる内幕に案内したい」と語っています。本書で紹介されている話は、どれも教科書や小説には出てこないような歴史の「細部」なのですが、だからこそ当時の人々の生活ぶりや生の声を知ることができて実に面白く、磯田さんの言葉どおり、歴史の真の姿が現れてきます。また、話の中に出てくる「郵便ポストが家の前にある家は古い。」といった“こぼれ話”も興味深いものがありました。

本書では、磯田さんの日頃の活動ぶりも知ることができます。テレビに出演されている姿はよく見ますが、戯曲や新作狂言を書いたり、兜に香の薫りを焚きしめる実験をしたり、江戸に落ちた隕石を探しまわったりと、その多才ぶりと旺盛な好奇心、そして行動力には驚くばかりです。しかし何といっても、古文書を読むことができるというのは、本当に羨ましい限りです。もし自分にもできたら、歴史が桁違いに面白くなるに違いありません。

磯田さんは来年のNHKの大河ドラマ「西郷どん」の時代考証をするそうです。磯田さんは本書で、「維新史から“民衆”の視点が抜け落ちてはいけない」と語っているのですが、ドラマでその思いが表れるのか、今から興味は尽きません。

読後感(面白かった)