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「NHK交響楽団定期公演 第1909回」

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昨日午後、「NHK交響楽団定期公演 第1909回(4月Aプログラム)」があり、会場のNHKホールに足を運びました。指揮はチェコ出身のヤクブ・フルシャ。N響とは今回初共演だそうです。

今回のプログラムは、リヒャルトシュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはこう語った』、フランスのソプラノ歌手ヴェロニク・ジャンスを迎えて、ベルリオーズの叙情的情景『クレオパトラの死』、そしてヤナーチェクの『シンフォニエッタ』の3曲。『ツァラトゥストラはこう語った』を生で聞くのは初めて。あとの2曲は初めて聞く作品でした。

『ツァラトゥストラはこう語った』は、冒頭のフレーズがあまりにも有名ですが、今回、呼吸を合わせた弦の一体感が印象に残り、作品の良さを再認識。オーケストラの息づかいは、やはり生演奏でないとわからないものです。

『クレオパトラの死』は、クレオパトラがアクティウムの海戦の敗戦を受け、毒ヘビに身体を噛ませて自殺したエピソードをもとにしたカンタータ。悲しみと絶望感に苛まれるクレオパトラの心情が、ジャンスさんによって劇的に、切々と歌い上げられ、舞台に引き込まれてしまいました。クレオパトラが会場に現れたような感じを受けたのは、私一人だけではないかもしれません。

『シンフォニエッタ』は、ヤナーチェク晩年の管弦楽曲で、この作品は、村上春樹さんの小説『1Q84』にも登場するそうです。ヤナーチェクらしい民族音楽的な旋律とリズムが特徴的ですが、印象に残ったのは何といってもバンダの演奏。会場に響き渡る金管の切れのある音色に耳を傾けました。

決してメジャーではありませんが、作品それぞれに味があり、心に残るコンサートでした。