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NHK交響楽団「第2004回定期公演」

昨日、NHK交響楽団「第2004回定期公演(Aプログラム)」があり、NHKホールに足を運びました。

指揮は、最後のN響定演となる井上道義さん。
プログラムの前半は、ヨハン・シュトラウスII世のポルカ『クラップフェンの森で』と、ショスタコーヴィチの『舞台管弦楽のための組曲第1番』「行進曲」「リリック・ワルツ」「小さなポルカ」「ワルツ第2番」。

聴く方も、大事な試合の前のウオーミングアップといった感じですが、どれも印象的な作品。

中でも、初めて生演奏で聴いた「ワルツ第2番」の哀愁を帯びた、どこか懐かしいメロディーは心地いいもので、身体が自然にジンタのリズムを刻んでいました。

プログラムの後半は、アレクセイ・ティホミーロフのバスと、オルフェイ・ドレンガル男声合唱団の合唱で、ショスタコーヴィチの『交響曲第13番 「バビ・ヤール」』。この作品も、生演奏で聴いたのは今回が初めてでした。

今や「ショスタコーヴィチといえば井上道義さん」と言っても過言ではないでしょう。

昨日も渾身の指揮で、ステージと会場は井上さんの気力が充満。それに応えて、N響はすべてのパートが、その持てる力を存分に出し切った感じ。

そして、ティホミーロフさんの重厚で魂を揺さぶる歌声と、男性合唱団の壮大で豊かなハーモニー。

力強く、ときに繊細な演奏に只々感動するしかなく、この作品の持つメッセージとともに、曲の魅力を心行くまで堪能しました。

N響のフルート奏者の梶川真歩さんが、SNSで「オケの仕事をしていて、素晴らしいと思う事は、こうした芸術家の普遍的な大きなメッセージを、大勢が奏でる事でしか出来ない音の渦の中で、時を超えて人と共有して体験できる事」とつぶやいていました。

昨日はその渦の中にいて、至福の時間を共有することに。私にとって“忘れられない演奏会”になりました。