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NHK交響楽団「第2006回定期公演」

昨日、NHK交響楽団「第2006回定期公演(2月Bプログラム)」を聴きに、サントリーホールに足を運びました。

指揮はパブロ・エラス・カサド。昨日は、母国スペインにちなんだプログラムでした。

前半の1曲目はラヴェルの『スペイン狂詩曲』。カサドさんがどんな指揮をするのか、楽しみにしていたのですが、N響の演奏はラヴェルの作品らしい色彩感に溢れ、聴きごたえ十分。期待どおりで、さすがカサドさんという感じで始まりました。

前半の2曲目は、アウグスティン・ハーデリヒのヴァイオリンでプロコフィエフの『ヴァイオリン協奏曲第2番』。

ハーデリヒさんのヴァイオリンは初めてでしたが、第一楽章の冒頭のソロで早くも音色の虜に。繊細で豊かな表現力とそれを支える抜群のテクニックが強く心に残りました。

ハーデリヒさんは、15歳で大やけどを負いながらも、強靭な精神力で困難を克服し、今に至っているそうです。ヴァイオリンの深い音色には、人知れぬ思いがこもっているのかもしれません。

アンコール曲は、タンゴの名曲でカルロス・ガルデルの『ポル・ウナ・カベーサ』(首の差で)。映画音楽に使われ、浅田真央さんのアイススケートの演技でも使われた有名な作品ですが、ハーデリヒさんの奏でる哀愁を帯びたメロディーは、まだ心に染みこんだままです。

プログラムの後半は、吉田珠代さんのソプラノで、ファリャのバレエ音楽『三角帽子』。

民族色が豊かな印象的な作品ですが、メンバーの「オレ!」の掛け声に始まり、カスタネットの響きや魅惑的なメロディーが鳴り渡り、ホールはスペインの空気が充満。

最後は、カサドさん操るN響の迫力に圧倒され、ボルテージが一気に跳ね上がりました。

終演後の拍手は熱く、長く続きましたが、民族的な音楽は、それにふさわしい人が演じると、一層魅力的になる気がします。