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NHK交響楽団「第1965回定期公演」

昨日(16日)、NHK交響楽団「第1965回定期公演(10月Aプログラム)」があり、NHKホールに足を運びました。

プログラムは,、ヘルベルト・ブロムシュテットの指揮で、マーラーの『交響曲第9番』。

ブロムシュテットさんの指揮で、昨年10月の定演を聴いてからちょうど1年が経ちましたが、待ちに待ったという感じで、NHKホールはほぼ満席でした。

昨日の公演でまず驚いたのは、コンサートマスターの篠崎さんにエスコートされ、ブロムシュテットさんがステージに登場したときに起きた割れんばかりの拍手。

演奏が終わったときのような盛大な拍手が、演奏前に送られるなどまずないことで、それだけでもう胸がいっぱいになり、今日は特別な日になることを予感させました。

ブロムシュテットさんは、来日前に怪我をされたとのことで、椅子に座っての指揮でしたが、オケへの手振りは何も変わらず、素早く、明瞭。

そもそも、95歳の人が80分間休みなくオーケストラを指揮するなんて、尋常なことではありません。

一方N響の演奏は、終始緊張感にあふれ、ブロムシュテットさんへの熱い思いを感じさせるもの。

特に終楽章はまさに渾身の演奏で、椅子から浮き上がるような勢いでヴァイオリンを弾いていた篠崎さんの姿は、今も目に焼き付いています。

曲が終わっても、ブロムシュテットさんの手はしばらく止まったまま。その間、会場は静寂に包まれ、祈りが捧げられているよう。

これほど胸に迫る終わり方も初めてで、ブロムシュテットさん、N響のメンバー、聴衆の思いが、静かに交錯しているようにも感じられました。

そして、終演後のカーテンコールは熱烈。定演では珍しいスタンディングオベーションも起こり、オケが舞台から退場しても、たくさんの人が残って拍手また拍手。

それに応えるように、篠崎さんと郷古さんにエスコートされたブロムシュテットさんが、何度も舞台に登場し、客席に手を振ってくれたのですが、その姿を見て、さらに胸が熱くなりました。

ブロムシュテットさん、N響、そしてたくさんの聴衆。昨日は、それぞれにとって忘れることができない「特別な日」になったに違いありません。