えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『男の作法』を読みました

男の作法 (新潮文庫)

今年69冊目の読了は『男の作法』(池波正太郎/新潮文庫 初版昭和59年11月25日)です。書店のホームページで知って手にとったのですが、読むのが後回しになってしまいました。この作品は、昭和56年当時のごま書房から発刊され、昭和59年に文庫化されたものです。小説でもないのに35年以上の長きに渡って読み継がれていて、手にしたものは97刷でした。

本書は、池波正太郎さんが考える「男の常識」的なものを、語りおろしというスタイルでまとめたエッセイです。タイトルの通り、作法-食べ方、飲み方、着こなしかた、住まい方といったこと-が主だったテーマですが、話はそれに留まらず、日常生活の細々したことや人間関係、人生観等々多岐に渡り、池波さんが軽妙に語っています。話題に「長嶋監督」「広岡監督」といった言葉が出てくるのは、さすがに時代を感じさせますが、内容は今読んでも「なるほど」と思う話ばかりで、本書が版を重ねている理由がよくわかります。

また随所に、池波さん独特の印象的なフレーズに出てきて心に残ります。-「人間とか人生とかの味わいというものは、理屈では決められない中間色にあるんだ。」、「人間という生きものは矛盾の塊りなんだよ。死ぬがために生まれてきて、死ぬがために毎日飯を食って。」、「自分のまわりのすべてのものが、自分をみがくための〈みがき砂〉だということがわかる。」-あげたら切りがありませんが、こういった言葉も本書の魅力です。

池波さんは本書で、他人に対する気配り・心配りの大切さを一貫して言っています。作法といっても、人として大切なものが備わっていなければ、結局は何の意味もないのだと思います。

読後感(おもしろかった)