えむと、メモランダム

読み散らした本と出来事あれこれ

『行動経済まんが ヘンテコノミクス』を読みました

行動経済学まんが ヘンテコノミクス

今年9冊目の読了は、『行動経済まんが ヘンテコノミクス』(原作:佐藤雅彦 菅 俊一 画:高橋秀明/マガジンハウス 初版2017年11月16日)。書店で目にして、手に取りました。

行動経済学の面白さは、人間の非合理的な経済行動を心理学の視点から解明するところにあり、昨年、シカゴ大学教授で行動経済学の権威であるリチャード・セイラ-氏がノーベル経済学賞を受賞して話題になりました。
本書は、私たちのその非合理的(ヘンテコ)な経済行動を23例取り上げて漫画で表現し、その行動原理を行動経済学によって説明するものです。

原作の佐藤氏は元電通のCMプランナーで、現在は東京藝術大学大学院の教授。菅氏は多摩美術大学の講師。本書の「あとがき」には、経済学者ではない二人が、行動経済学の本を出すことになったいきさつが書かれています。それによると行動経済学の面白さをどう表現するかで紆余曲折があり、結局「サザエさん」の世界を目指すことになって、この漫画が誕生したのだそうです。

なるほど、本書で紹介されている行動経済学の考え方は興味深いものがありますが、本書の一番の面白さは漫画そのものにあると言っても過言ではないかもしれません。ビジネス書のコミック版にありがちなストーリー漫画ではなく、ギャク漫画風の独特のタッチで描かれている作品はどれも強く印象に残り、漫画ならではの趣向を凝らした表現は感心させられるものばかりでした。
なかでも、イメージに囚われて偏った判断をしてしまう「代表性ヒューリスティック」をテーマにした第7話『ヘンテコ派出所の一日』は、先にセリフだけを示して読者にストーリーを想像させ、ページをめくると同じセリフと絵が描かれているというものですが、漫画でなければ難しい芸当であり舌を巻きました。

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《左(P46)はセリフだけ、右(P48)は絵とセリフ ※いずれも一部》

本書には漫画に関連したコラムや漫画にできなかったテーマの解説もあって、行動経済学の入門には恰好な本だと思いますが、漫画の楽しさも同時に味わうことができて、“お得”な一冊であることは間違いありません。

読後感(とても面白かった)